青森の桜の名所をめぐる旅
北国・青森に訪れる春を感じよう
長い長い冬が終わると、北国にもようやく春が訪れます。北国の春のうららかな陽気を待ってましたと言わんばかりに、あちこちで桜が咲き始めます。美しすぎて見るだけで思わず笑顔になってしまうような、青森の桜の名所をご紹介します。
日本一の桜と呼ばれる「弘前公園」
青森県にある桜の名所といえば、「日本さくら名所100選」に選出されている弘前公園が外せません。弘前公園内の50ヘクタールに及ぶ敷地面積のなかには津軽統一を成し遂げた津軽氏の居城・弘前城があり、弘前の歴史を感じさせる公園のたたずまいと見事に咲く桜のコントラストに目を奪われます。
弘前の桜が日本一と言われるのには秘密があります。弘前公園の桜は青森を代表するりんごの剪定方法を参考にして桜の木を整えているため、一つの花芽からいくつもの花が咲き、一般的な桜の木よりも花の付きがよく、もこもこと迫力がある桜を咲かせるそうです。
りんごの木と同じように丁寧に管理されてきたからこそ、毎年美しい満開の桜を見ることができるんです。
弘前公園の数ある見どころの一つと言えば、「花筏(はないかだ)」です。公園内には弘前城を囲むように濠があり、濠の水面に花びらが落ちてできる花筏は必見です!
弘前公園で毎年4月下旬~5月上旬にかけて開催される「弘前さくらまつり」は、東北地方最大規模のさくらまつりとして、県内外からたくさんの観光客が訪れます。
まつり期間中は、西濠からボートに乗ることができるんです。ボートから眺める桜も美しく、地上から見る桜とはまた違った視点で景色を堪能するのもよいでしょう。親子・カップル・友人同士、1艘につき3人まで乗れますよ。
また、中濠では和舟に乗って船頭さんによる運航でゆったりとお花見を楽しめます。さくらまつり期間にしか体験できない船からの景色を楽しんでみるのもおすすめです。
さらに、まつり期間中はたくさんの屋台が並びます。嶽きみの天ぷらやりんご飴、名物の真っ黒こんにゃくなど津軽ならではの郷土が感じられる屋台や、毎年おなじみのお化け屋敷やバイクサーカスなど、お花見と一緒にたくさんの屋台も楽しめます。
その他にも、東内門付近にある弘前公園最長寿のソメイヨシノや、西濠両脇にある桜のトンネル、四の丸にある青森県護国神社など、公園内には見どころがとにかくたくさんあります。どのスポットでも満開の素敵な桜を見ることができますので、ぜひ足を運んでみてください!
広い敷地を隅々まで歩くと結構な距離になるので、お花見にはスニーカーなど疲れない靴で行くのがよいでしょう。
水鏡が創る夜の桜に息をのむ「弘前公園」
夕方から夜にかけての弘前公園は、お昼の桜とはまた違った艶やかな雰囲気の花見が楽しめます。特に春陽橋からのぞむ西濠は、満開の桜がライトに照らされ、水面に映るリフレクションも相まって息をのむほどの絶景。一度見たら忘れられない夜桜になること間違いなしです。
剪定技術によってできたハートが浮かび上がるスポットや西濠の桜のトンネルも、夜には雰囲気がガラッと変わります。また、公園内で桜が満開になるタイミングや花筏ができるタイミングが少しずれるので、どの景色を見たいか狙って行くとよいでしょう。
弘前観光コンベンション協会のホームぺージでは弘前公園の桜の開花状況を随時更新しているので、参考にしてみてくださいね。
青森県の春はまだ肌寒いので、夜は特にしっかりと着込んで行くことをおすすめします。
鉄道ファン必見!津軽鉄道との調和を楽しむ「芦野公園」
五所川原市金木にある芦野公園は、「日本のさくら名所100選」に選ばれている津軽半島屈指の桜の名所。サトザクラやソメイヨシノなど、約1,500本の桜が公園内を彩ります。
芦野公園は県立自然公園に指定されている広大な公園で、自然ゆたかなスポット。公園内にはため池として全国的に有名な芦野湖があり、芦野湖畔には桜の木を上回る数の黒松の老木が広がっているのも見どころの一つです。
その他にも、児童動物園や歴史民俗資料館、オートキャンプ場もあり、これらを吊り橋・浮き橋・遊歩道を通って散策できるようになっています。
芦野公園は公園内を鉄道が横断する全国で珍しい公園でもあります。およそ80ヘクタールの広大な敷地内には津軽鉄道「芦野公園駅」があり、満開の桜のトンネルを津軽鉄道「走れメロス号」や、冬季おなじみの「ストーブ列車」が走り抜けます。その景色はまるで物語のワンシーンのよう。幻想的な風景を一目見ようと、毎年全国から多くの鉄道ファンや観光客が訪れています。
「芦野公園駅」の横にある美しい外観の喫茶店「駅舎」は、津軽鉄道が開業したときから使われていた建物で、その当時の建物が現存しているのは芦野公園だけだそうです。レトロな佇まいの駅舎と、その周辺を舞う桜吹雪が印象的ですよ。
4月末~5月上旬に開催される「金木さくらまつり」では公園内に屋台などが並び、より一層にぎやかな雰囲気になります。「しょうが味噌おでん」など郷土グルメもあるので、津軽ならではの食を楽しめるでしょう。
五所川原市金木地区は文豪・太宰治ゆかりの地としても有名です。芦野公園は太宰治が少年の頃よく遊んだ場所としても知られていて、湖畔には太宰治文学碑や太宰治像、金木駅周辺には太宰治記念館「斜陽館」や「太宰治疎開の家」などがあり、太宰治の小説に出てくるスポットを身近に感じられますよ。
市街地のオアシスとして親しまれる「三八城公園」
県南にも桜が咲く素敵なスポットがあります。それが、八戸市にある「三八城公園」です。
三八城(みやぎ)というのは三戸郡・八戸城を意味することばだそうで、江戸時代に八戸藩の政治の中心であった八戸城の城跡が、現在の「三八城公園」です。
三八城公園は本八戸駅のすぐ近くにあり、街なかにあるコンパクトな公園です。高台にあるため景色がよく、展望デッキからは八戸市街が広く見渡せます。敷地内には50本の桜の木、芝生の広場、ひょうたん池、遊具などがあり、老若男女や時期・時間帯を問わず穏やかな時間を過ごせますよ。
高台にある三八城公園は空が広く近く感じられ、電線などもありません。桜の木もとどまることなく高く大きく枝を伸ばしているように感じられます。青空のもと、敷物を広げてのお花見は最高です!
三八城公園の敷地内には八戸藩初代藩主・南部直房、甲斐源氏の祖・新羅三郎義光、南部氏の祖である南部光行の3人が祀られた「三八城神社」もあり、八戸市民からは「みやぎさん」と呼ばれ親しまれているそうですよ。
旅人メモ:三八城公園
【基本情報】
◆住所:八戸市内丸1-14-49
◆TEL:0178-43-9141(八戸市公園緑地課)
◆駐車場:なし ※近隣の有料駐車場をご利用ください。
◆スポット情報について詳しくはこちらをご確認ください。
希少な桜も楽しめる憩いの場「早掛沼公園」
下北地域は青森県のなかでも桜の開花が遅い地域で、青森市が散り始めた頃に咲き始めるスポットも多いです。お花見のタイミングを逃してしまった方でも、下北地域ならまだ咲いているということもあるかもしれませんよ。
むつ市にある早掛沼公園は、下北地域で最もにぎわう桜の名所として有名なスポットです。ソメイヨシノや八重桜など、合わせて410本もの桜が公園を賑わしてくれます。
早掛沼公園には「御衣黄桜(ぎょいこうざくら)」と呼ばれる稀少な緑色の桜もあり、ソメイヨシノよりも1週間ほど後に咲くそうです。開花したばかりの御衣黄桜は淡い緑色ですが、徐々に黄色に変化していき、やがて花の中心部が赤く染まっていきます。お花見に行くタイミングによって、さまざまな桜の姿を見ることができそうですね。
桜以外にも、早掛沼公園には椿やツツジなどの春の花があります。長い冬を終えた本州北端の春は喜びもひとしお。鮮やかな春の花に、思わず笑顔がこぼれそうです。
早掛沼公園の隣には早掛レイクサイドヒルキャンプ場があり、アウトドアとお花見を一度に楽しめますよ。
旅人メモ:早掛沼公園
長い冬を終えて迎える北国の春だからこそ、桜は儚く美しく私たちの心を揺り動かしてくれます。ぜひ、青森が誇る美しい桜で元気をチャージしてくださいね。
青森県内で桜が見られるスポットや開花状況はこちらからご確認いただけます。
他にも青森県内の桜の名所を巡るモデルコースも掲載していますので、ぜひそちらもご覧ください。
- 弘前公園/弘前城
- 芦野公園
- 三八城公園・八戸城跡
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