青森のあったかグルメ5選
寒い冬こそ味わいたい、心も体も温まる郷土の味

いよいよ冬到来。青森全体が寒さに包まれる季節となってきました。
県内各地では、地域の食材を生かした“あったかグルメ”が根付いていることをご存知ですか?
体を芯から温めてくれるだけでなく、心もホッと癒やしてくれる郷土の味わい。
今回はそんな青森の冬の食卓を彩る、県内各地のあったかグルメをご紹介します。
津軽に伝わる家庭の味 けの汁
だいこん・にんじん・ごぼう等の野菜類とふき・わらび・ぜんまい等の山菜類に油揚げ・豆腐・凍み豆腐などの大豆製品を刻み、味噌や醤油で味付けして煮込んだ、栄養たっぷりの津軽伝統の郷土料理。
津軽地方では「粥(かゆ)」を「け」と呼ぶことから、「かゆの汁」が転じて「けの汁」になったとのこと。
もともとは旧暦の小正月に食べられていた料理で、お嫁さんが小正月に里帰りする際に男衆のために作り置きした保存食なのだとか。
家庭や地域ごとに味わいが異なる「おふくろの味」で、食材の切り方や味付け、使う材料が津軽地方の中でもさまざまなバリエーションがあると言われています。
保存がきき、温め直すたびに具材のエキスが染み込んでいくため、大きな鍋でたっぷりと作り、小鍋に分けて数日かけて食べるのが伝統の食べ方。
現在では、けの汁の特徴のひとつである「5mm角」に食材を刻んだ「けの汁の具」がスーパーなどで売られているため、家庭でも作りやすくなっています。
けの汁についての情報は、弘前商工会議所で問い合わせに対応しているそうです。
希望すると、「けの汁」を提供しているお店も案内してくれますよ。
▼弘前商工会議所 料飲観光部会内
電話番号:0172-33-4111
冬の味覚、タラを丸ごと味わう! じゃっぱ汁
青森の冬を代表する味覚、寒ダラを使った家庭料理。 「じゃっぱ」とは、津軽弁で"魚のアラ"のこと。
タラの頭や骨、皮、内臓などと大根、にんじん、ネギなどを味噌や塩で煮込んだものが、冬の青森で親しまれている「じゃっぱ汁」です。
漁師町に根付いてきた料理は、大漁の日に女たちが浜で鍋を囲み、男たちの帰りを待ちながら作ったといいます。
冬の海で漁をしてきた男たちにとって、魚や野菜の栄養たっぷりの豪快な熱々の汁は、何物にも変えられない最高のごちそうだったようです。
冬のタラは脂がのり、白子や肝の濃厚な味わいが格別。
調理の仕上げに肝を溶かし、白子を入れると、スープに深いコクと旨みが広がります。
旬のタラを余すことなく味わう、青森ならではの知恵とぬくもりが詰まった一杯です。
旅人メモ:じゃっぱ汁
浜の漁師料理から始まったというじゃっぱ汁は、家庭の味としても親しまれてきました。
魚のアラや冬野菜をたっぷり使った、素材の味を生かした素朴なホッとする味わいが魅力で、自宅でも手軽に作ることができます。
ぜひご自宅で作ってみてはいかがでしょうか。
もちもち食感がやみつき! せんべい汁
青森県内では南部地方で食べられている郷土料理。
鶏ダシ醤油味のスープに、野菜やキノコ、糸こんにゃくなどを入れ、せんべいを割り入れるのが最もスタンダートな食べ方です。
具材の旨みをいっぱいに吸った、地味深い味わいのせんべいが味わえる、ほっとする逸品。
スープの組み合わせは他にも、サバやタラの塩味仕立てといった港町らしい味付けや、馬肉と味噌で仕立てたものなど、バリエーション豊富です。
汁に入れるせんべいは「おつゆせんべい」と呼ばれる、汁専用のシンプルなものです。
汁を吸っても煮崩れせず、ちょうど良く煮込むと柔らかいながらももちもち&シコシコとした食感となり、この瞬間を味わえるのがせんべい汁の醍醐味!
元々は南部地方の家庭の味から始まったグルメなので、自宅でも手軽に作れるのも魅力のひとつです。
約200年にもわたって伝わってきた「せんべい汁」ですが、実はその名前が定着したのは平成に入ってから。
八戸市の市民観光団体がPRに乗り出し、素朴な見た目と裏腹の抜群な味わいで、一躍全国区となりました。
その団体が、「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」の生みの親でもある「八戸せんべい汁研究所」。
「八戸せんべい汁を食べてみたい!」という方はご自宅で作ってみるも良し、提供店をチェックして食べに行くも良し。
八戸周辺などで約200店舗の提供店があるので、お気に入りの味を探すのもおすすめです。
▼八戸せんべい汁研究所
▼「八戸せんべい汁」が食べられるお店
https://www.senbei-jiru.com/%E7%99%BD%E7%B4%99%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
すりおろし生姜に残る、おかみさんの優しさ 生姜味噌おでん
体をあたためる食材として知られている生姜。
冬の寒さの中、青森から函館に向かう青函連絡船の乗客に少しでも温まってほしいと思った、とある屋台のおかみさんが味噌に生姜を入れたのが「青森生姜味噌おでん」の始まりと言われています。
お客さんが気に入り、以来、青森のおでんの食べ方として広まり、現在でも親しまれる味となっています。
味噌だれに加え、おでんの具材も青森らしい顔ぶれ。
陸奥湾名産のツブ貝、竹の子の一種である「根曲だけ」、薄くて大きなさつま揚げ、大ぶりな「ぼたん焼きちくわ」など、郷土の素材がふんだんに盛り込まれています。
大きな鍋でぐつぐつと煮込まれ、じんわり温まる生姜味噌で味わうおでんは、寒い時期に味わいたい一品。
近年では、市内のコンビニでカラシの代わりに「生姜味噌」を付けてくれるなど、市民に根付く地域の味となってきています。
この「生姜味噌おでん」を青森の魅力として広めようと、県内の味噌や練り物などのメーカーが一丸となって設立されたのが「青森おでんの会」。
生姜味噌だれのレシピやルーツの他、生姜味噌おでんを楽しめる提供店舗のガイドマップを作られています。
各店こだわりの生姜味噌やおでんをぜひ味わってみてください。
▼青森おでんの会
▼青森生姜味噌おでんが食べられる店
温泉とセットで味わいたい、冬の味覚 あんこう鍋【冬限定】
津軽海峡に面した風間浦村では、冬の味覚「あんこう鍋」が名物です。
風間浦付近の海底は急な傾斜があり、港を出て2~3㎞ほどと漁場が近いため、生きたまま水揚げされる風間浦鮟鱇(あんこう)は、津軽海峡の荒波に揉まれて身が締まり、上品な甘みがあると評判です。
そんな風間浦村鮟鱇(あんこう)を贅沢に使った「あんこう鍋」は、濃厚でまろやかな肝と淡白ながら旨みのある身を、地元野菜とともに煮込んだ冬のごちそう。
味噌・塩・醤油と、店ごとに異なるスープが楽しめるのも魅力です。
寒さ厳しい下北の冬に体も心も温めてくれる極上の味は風間浦村の「下風呂温泉郷」の提供店で味わえます。
長く湯治場として親しまれてきた温泉郷で、温泉とセットで冬の味覚を楽しんでみませんか?
▼あんこう鍋が食べられる店
青森ならではの環境や文化の中で生まれた郷土料理は、先人たちの知恵や地域のぬくもりを感じられる大切な味です。
この時期しか味わえない旬の食材も多いので、冬の青森を訪れて、体と心をほっと癒やしてくれる"あったかグルメ"をぜひ味わってみてください。


















