青森に来たら食べたい煮干しラーメンの魅力
津軽地方に広がる煮干しラーメン
青森県津軽地方では、古くから煮干しでだしを取った煮干しラーメンが「中華そば」の定番として親しまれ、「津軽ラーメン」として地元の食堂などで提供されてきました。
なぜ「煮干し」なのかというと、陸奥湾では古くからアジやイワシなどの魚類が豊富に獲れたから。特に津軽地方では、煮干しでだしを取ることが家庭でも日常的で、お味噌汁やそばつゆにも煮干しだしを使っていたそうです。それが中華そばにも使われるようになったのが、津軽ラーメンの始まりだとされています。煮干しだしを使っていないラーメン店を探すのが難しいほど、津軽の人たちにとってラーメンと言えば煮干しラーメンが定着しているんです。
2000年以降はあっさりとした「津軽ラーメン」がさらに進化し、煮干しだしに豚骨などの動物系のだしを合わせた濃い味の「新 津軽ラーメン」を提供する店舗が増えてきました。一度ハマったら定期的に食べたくなってしまう中毒性すらある煮干しラーメン。バリエーションも豊かで、奥が深い世界です。
あっさりから濃い味まで。「津軽ラーメン煮干し会」所属6店舗
今回は煮干しラーメン提供店のなかから、「津軽ラーメン煮干し会」に所属する6店舗の煮干しラーメンをご紹介します。
※津軽ラーメン煮干し会…青森県民の味「煮干しラーメン」を全国の人に知ってもらいたく、有志を集い、全国のイベントへの参加、煮干しラーメンに関する情報の発信力を強化するために2012年に発足した会。現在8店舗が所属している。
1.丸山らーめん
1989年に青森市でラーメン店を創業した当時はとんこつラーメンの店だったそうですが、煮干しラーメンが好きで研究を続け、現在は五所川原市で昔ながらのシンプルであっさりとした醤油ベースの煮干しラーメンをメインに提供しています。
おすすめの「手もみ麺(中太)ラーメン(760円)」は、真イワシ、片口イワシの煮干しのみでだしを取り、煮干しだし100パーセント。煮干しは、えぐみを取るために手作業でていねいに煮干しの頭とはらわたを取っているそう。濁りのないスープはあっさり、さっぱりとしていて飲みやすく、もちもちとした食感の多加水麺とマッチします。
【丸山らーめん】
五所川原市唐笠柳藤巻144-3
TEL:0173-33-1237
営業時間:11:00~15:00
定休日:水曜日、第一木曜日
2.原食堂
地元に愛される食堂のいちメニューとして「中華そば(690円)」を提供している原食堂。昔ながらのシンプルな具材と万人受けする食べやすさながらも、しっかりと煮干しが感じられるラーメンです。
煮干しは片口イワシと平子イワシを使い、時期によって配合を変えているそう。鶏がらやとんこつから取ったスープと昆布だしも合わせ、火加減に注意しながらじっくりと炊き上げています。
中華そばにえびの天ぷらが乗った「天中華そば(800円)」は、まかない飯から始まった原食堂のオリジナルメニュー。天ぷらの衣が煮干しのスープをたっぷりと吸い、うま味が口の中に広がります。
【原食堂】
青森市松原1-14-6
TEL:017-735-2327
営業時間:11:00~16:00
定休日:日曜日
3.出し屋五丈軒
あっさりでは物足りない、でも煮干しが強すぎるラーメンも挑戦しづらい…そんな方にぜひ食べてもらいたいのが、出し屋五丈軒のラーメン。2001年に創業した五丈軒は、煮干しだしに加え、サバやカツオで取っただしも効かせつつ、動物系のだしとバランス良く合わせた濁りのないスープが絶品です。
中太の自家製ちぢれ麺とコクのあるスープは、煮干しラーメンを初めて食べる人にも優しい味わい。おすすめは「中華そば(700円)」と「バラそば(850円)」。なかでもバラそばは、分厚いバラ肉を一晩醤油ベースのタレに漬け込んで味を染み込ませ、麺が見えないほどのバラ肉が乗った豪華な一杯です。
【出し屋五丈軒】
青森市浜田1丁目10-15
TEL:017-762-2255
営業時間:11:00~21:00(L.O.20:45)
定休日:木曜日
4.マルミ・サンライズ食堂
創業時からアジの煮干しをメインのだしに使用したラーメンを作り続け、2025年に60周年を迎える、浪岡のマルミ・サンライズ食堂。
おすすめは鶏ガラの白湯スープと豚骨の白湯スープに、アジとイワシ3種で取った煮干しスープを合わせて作る「鯵ダブル(850円)」。レモンが添えられているのは、胸やけ防止だそう。[21]好みのタイミングで投入することで煮干しの風味が少し抑えられ、爽やかに味変できます。また、浪岡地域にある食堂では古くから中華そばやラーメンにお麩を入れていたそうで、サンライズ食堂のラーメンにもお麩が入っています。コクが凝縮されたスープをたっぷりと吸ったお麩がたまりません。
なお、サンライズ食堂はあっさり味のラーメンも絶品。アジ煮干し2種類、イワシの焼き干し2種類のだしラーメン「津軽ラーメン(730円)」では、普通麺か太麺かを選べます。
【マルミ・サンライズ食堂】
青森市浪岡女鹿沢西種本13-1
TEL:0172-62-2408
営業時間:11:00~22:00
定休日:8/13,8/14,12/31,1/1
5.中華そば ひらこ屋
中華そばひらこ屋は、店名にもある平子イワシの煮干しをメインに使用したラーメンを提供しています。
看板商品の「濃い口煮干(820円)」は、全国の産地から目利きしたその時期の旬の煮干し数種類を大量に使い、煮干しを3段階に分けて投入しスープを仕込むことで濃厚さを演出。動物系のスープとの絶妙なバランスを取ることで、煮干し感が全面にあるさっぱりとした口当たりのスープに仕上げています。また、返しの醤油タレにも煮干しだしを仕込んでいるそう。一口すすると煮干しの奥行きが感じられる、煮干し感満載のラーメンです。
また、その日の気温や湿度に合わせて仕込んでいる自家製麺は中太でモチモチとした食感。チャーシューは青森ガーリック豚のモモ肉の部位に合わせて調理法を変え、2種類のチャーシューがひとつのどんぶりで楽しめます。
【中華そば ひらこ屋】
青森市新城山田588-16
TEL:017-787-0057
営業時間:8:00~16:00(L.O.15:30)
定休日:火曜日
6.長尾中華そば
長尾中華そばは、津軽の煮干しラーメンを全国区にしたラーメン店。現在は県内外合わせて8店舗を展開しています。
長尾中華そばでは、あっさりからこってりまで幅広い煮干しラーメンが味わえます。なかでも「ごくにぼMAX(980円)」は新津軽ラーメンの代表格。最上級のこってり煮干しが若者に人気の一杯です。
ごくにぼMAXは、とんこつと鶏ガラのスープに5種類の煮干しだしを合わせ、コクと濃度を調整しています。砕いた煮干しでだしを取っているのに加え、煮干しの粉末がスープに溶け込んでおり、自家製麺の極太麺に魚粉たっぷりの特製タレとスープがよく絡んで口のなかが煮干しで満たされます。チャーシューには十和田ガーリックポークのモモ肉を使用。ほろほろのチャーシューに煮干しがよく合います。
【長尾中華そば 西バイパス本店】
青森市三好2-3-5
TEL:017-783-2443
営業時間:7:00~21:00(L.O.20:45)
定休日:月曜日
カップ麺でも煮干しラーメンが味わえる!
2018年から販売され、長らく愛されている東洋水産のカップ麺「激にぼ」がリニューアルしました。津軽ラーメン煮干し会が監修し、これまで以上に煮干しの風味がパワーアップした「激にぼ」は、濃厚な煮干しスープがやみつきになる味わい。定期的に食べたくなる「煮干し中毒」の欲求を満たしてくれますよ。
しっかりと煮干しが感じられる「煮干しラーメン」。青森観光に来たら、ぜひ1食はラーメンにチャレンジしてみてほしいです。津軽に根づく煮干し文化をご賞味あれ!
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