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青森の刺し子文化 こぎん刺し&菱刺しに触れる

青森の刺し子文化 こぎん刺し&菱刺しに触れる




新しくリニューアルされた青森県観光情報サイト「Amazing AOMORI」。

新サイトのデザインにも採用されているこぎん刺しと菱刺しは、青森県の有形民俗文化財に指定されている伝統工芸のひとつです。


青森の冬を温かく支える、刺し子文化の魅力をご紹介します。



日本三大刺し子のうちの2つがある青森県

青森県は、綿花の栽培に適さない寒冷地。長い間麻布で作られた衣類での生活を余儀なくされました。冬の寒さをしのぐため、布の補強や補修のために麻布を糸で刺していたことから次第に独特な菱模様が生み出され、「刺しこ」とよばれる着物が発展しました。


青森県津軽の「こぎん刺し」、青森県南部の「菱刺し」、山形県の「庄内刺し子」は日本三大刺し子と呼ばれ、冬の寒さが厳しい東北地方を中心に刺し子文化が受け継がれています。


青森市教育委員会が所蔵している刺しこ着は、県内の江戸時代後期から昭和初期までの庶民の衣服を代表するもので、「青森の刺しこ着」として青森県の有形民俗文化財の指定を受けています。青森市にある「北のまほろば歴史館」に、その一部が展示されています。


藍染めの麻布に白い木綿糸が映える、津軽こぎん刺し

雪深い津軽地方では、保温や補強という実用性を目的とした刺しから、次第に「こぎん刺し」と呼ばれる独特の模様が生み出されました。

こぎんとは、麻布で作られた短い単衣の仕事着を指す言葉です。藍染めの麻布に白い木綿糸で刺すこぎん刺しは、1、3、5、7と縦糸の奇数目を数えて刺し進めます。ベースとなる模様がいくつか連なって単位模様となり、さらに流れや囲み模様を加えることで、大きな模様となってダイナミックに表現されています。


こぎん刺しは津軽地方の3地域で主に作られましたが、地域ごとに特徴があり、東こぎん、西こぎん、三縞こぎんの三つに分けられます。


東こぎんは、弘前市の東側、黒石市・平川市周辺で作られました。小柄な模様を繰り返し使い、大胆な大柄に見せる刺繍が多いです。写真の東こぎんは、藍染めした麻布の生地に白い木綿糸で刺繍をして、そのあとさらに刺繍ごと藍染めしているため、全体的に青く色づいています。この藍染めされた模様も、東こぎんの特長のひとつです。


西こぎんは、弘前市の西側の中津軽郡一帯で作られました。

肩の部分に黒糸と白糸で数本の横縞を入れ、その横縞を境に数種類の模様を切り替えて表現されているのが特長です。


三縞こぎんは、五所川原市、つがる市周辺で作られたこぎん刺しです。胸と背の部分に太い3本の横縞が入るのが特長で、太い線を入れることで、模様崩れの心配をせずに刺すことができたそうです。

薄い麻布を少しでも温かく着られるようにひと針ひと針刺していたこと、その途方もない大変な作業のなかにも、こうして遊び心を持って素敵な模様に仕上げていたことを思うと、それだけで心が温かくなりますね。


刺し方の模様は数百種類!色も模様も組み合わせて楽しむ、南部菱刺し

津軽と南部、それぞれの地方で醸成されたこぎん刺しと菱刺しの文化には、生地や糸、刺し方など、それぞれの気候や風土による違いが見られます。


こぎん刺しは藍染めした紺地の麻布一枚に白い木綿糸で刺しているものが多いですが、南部地方の菱刺しは水浅葱色に染めた麻布を表とし、裏地にはうら白と呼ばれるサラシのような木綿布を合わせて厚くしているものが多いです。

また、こぎん刺しは上着着物に、菱刺しは前だれ(前掛け)やたっつけと呼ばれるももひきなど、下半身に身に付ける衣類に補強として刺繍が施されているものが多く見つかっています。刺し方も、こぎん刺しは縦に長いひし形、菱刺しは横に長いひし形がベースとなっているんです。

このカラフルな菱刺しは、前だれ(前掛け)に施されたもの。よく見ると、3パターンの模様と黒を入れた6色の毛糸を使っているのが分かります。


数百種類とも言われる菱刺しの模様は、2・4・6の偶数の目を数えて刺して作られます。綿糸・毛糸などのさまざまな種類の刺し糸がカラフルに使われていて、色鮮やかで独特な彩りも魅力的。現代でも「かわいい!」と思わせるような刺し模様と色のバリエーションです。

カラフルな刺し子グッズはお土産にぴったり

近年はハンドメイド作品が個人で気軽に販売できるようになり、青森県内では刺し子をする個人や団体が増えています。昔ながらの色合わせや刺し模様だけに縛られない、カラフルでかわいらしい刺し子グッズが増えていて、土産店などで購入できます。

こぎん刺しグッズのなかには、必要な布と刺繍糸、刺繍針がセットになったスターターセットもあります。自分で刺すことで、より愛着が湧きそうですね。デジタルから離れてひとつの作業に集中できる時間が癒しの時間になりそうです。

南部菱刺しは、八戸を中心とする南部地方の土産店などで購入することができます。作り手によって色の合わせ方や雰囲気が変わるので、お好みの作り手さんを見つけてみてもいいかもしれません。




ものがあふれる現代では古布を再利用して使うことはあまりないですが、ぬくもりを感じさせる手仕事は、ものを大切にする気持ちを思い出させてくれます。大切にしたいと思える刺し子小物と出会ったら、ぜひゲットしてくださいね。


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