津軽と下北を味わう 青森ワイン紀行
津軽と下北、異なる風土が育むワインとシードル

青森県は、ワインの隠れた名産地ということをご存知ですか?
東西に広く、太平洋、日本海、そしてむつ湾と三方を海に囲まれ、地域によって異なる気候環境を持ち合わせている青森県は、世界的にワイン用ぶどうの栽培に適した土地とされる、北緯30〜50度の範囲である「ワインベルト」に位置しています。
今回はそんな青森に根付く、津軽と下北のワイナリーをご紹介します。
ワイン好きはもちろん、お酒が苦手な方でも楽しめる青森ならではのスポットもあるので、ぜひ最後までお読みください。
伝統から生まれる、新しいクラフトワイン|つがるワイナリー
日本一の「スチューベン」の産地として知られる鶴田町にある「つがるワイナリー」。
2017年に前身の「Wano Winery」が創業し、2023年に「つがるワイナリー」として進化しました。
鶴田町は、スチューベンの本場・アメリカのニューヨーク州と同じ北緯41度に位置しています。気候が似ていることから栽培に適しており、昭和50年代から町内でのスチューベン栽培が始まりました。
小ぶりで艶やかな濃紫の粒は、糖度は高くジューシーなのに後味さっぱり。
つがるワイナリーの後ろにそびえる岩木山が色づく頃は、スチューベンの収穫で大忙しの時期なのだとか。
つがるワイナリーは「身近な感覚で楽しめる、多様なクラフトワイン」をモットーに、伝統を大切にしながら自然的で新しいワイン造りに挑戦しています。
鶴田町産のスチューベンをはじめ、りんごや桃、甘酒など、地域の恵みを活かしたワインのほか、約5000年前の縄文時代の地層から発見された酵母「三内丸山ユメカモス」を使ったものなど、ひと手間加えたクラフトワインを丁寧に造っています。
ワクワクするような素材の組み合わせに加え、手に取りたくなる仕掛けはラベルにも。
ラベルのモチーフに津軽塗を取り入れ、ワインと一緒に青森の伝統文化や魅力を感じてもらえるデザインにしています。
つがるワイナリーでは見学ツアーも開催中。
普段なかなか触れることのできないワイン造りの舞台裏をのぞくことができる貴重な体験です。
スチューベンの甘いジュースが、どのような工程を経てワインへと姿を変えるのか。完成までの流れや、味わいの表現方法を楽しく学ぶことができます。
さらにツアーでは、ワインの飲み比べができるうえに、ワイン1本のお土産付き!
気になったワインは店頭での購入も可能です。
各種ワインやワインに合うチーズなどのおつまみも販売しているので、気になる商品やワインについて知りたい方は、ぜひスタッフにお尋ねください。
旅人メモ:つがるワイナリー
冷涼な地で生まれる、味わい深い本格派ワイン|サンマモルワイナリー
1998年頃からぶどう栽培を始めた「サンマモルワイナリー」は、本州最北のワイナリー。
むつ市に第一工場と売店、南津軽郡大鰐町には第二工場を構え、50種類以上のワインを製造しています。
第一工場では、下北連山の裾野に広がる11.3ヘクタールの自然豊かな畑で育てたぶどうを使用。下北はワインの名産地であるフランスのブルゴーニュ地方と気候が似ているほか、鶴田町同様「ワインベルト」と呼ばれる緯度に位置しているため、ぶどうの栽培に適している土地です。
サンマモルワイナリーが開園当初からこだわっているのが、「安心安全なぶどう作り」。
有機肥料を使い、なるべく農薬を使わない栽培方法に取り組んでいます。農薬をできる限り減らすために必要不可欠なのが畑の見回り。
健全で安心なぶどうは、スタッフの丁寧な管理によって育まれています。
2008年以降、国内外のさまざまなコンクールで入賞を重ね、多くの受賞歴を誇っています。
ワイナリー併設の売店では購入も可能。赤、白、ロゼ、スパークリング、フルーツワインのほか、デザイン性の高いラベルを施した「アートラベルシリーズ」などの商品もあり、豊富なラインナップに目移りしてしまうかもしれません。
また売店では、その日の気温に合わせて焼き上げたホテルメイドのブレッドやカレーなどの販売も行っています。ワインと合わせて、お好みの商品を見つけてみてください。
旅人メモ:サンマモルワイナリー
営業時間 :(4月~12月)10:00~17:00、(1月~3月)10:00~16:00
休業日:木曜日
※木曜日が祝日にあたる場合は営業することがあります。
休業日が変更となる場合もあるため、詳細はワイナリーへお問い合わせください。 (電話番号:0175-42-3870)
りんご王国・青森で育った名物シードル|A-FACTORY
ぶどうを使ったお酒、ワインに続いてご紹介したいのが、りんごを原料にしたスパークリングワイン「シードル」。
日本一のりんごの産地・青森ならではの味わいをご紹介します。
シードルはワインに比べ、3〜8%程度とアルコール度数が低く、すっきりとした飲み口でお酒が苦手な方でも飲みやすいのが特徴のひとつ。
りんごの果汁に酵母を加えて発酵させていて、古くから世界中で親しまれています。
県内では近年、シードルを手がける専業業者が増えてきています。
県産りんごを使ったシードルが飲みたくなったら、青森駅東口より徒歩3分にあるウォーターフロントエリアの一角の「A-FACTORY」はいかがでしょうか?
三角屋根の目を引く外観に誘われて中に入ると、開放的なフードマルシェが広がります。
フードマルシェを奥に進んでいくと、銀色のタンクが並ぶシードル工房が。
2010年に「シードルを通じて、“りんご王国青森” を盛り上げていこう!」という思いで開業した工房は、ガラス越しに仕込む様子などの見学が可能です。
2階にはテイスティングラウンジがあるので、気になったシードルの飲み比べができるのはうれしいポイント。
工房の自家製シードルは、ドライ、スタンダード、スイートの3種を定番で展開。試飲して気に入った商品は1階で購入可能なので、吟味して選んでくださいね。
旅人メモ: A-FACTORY
今回は鶴田町とむつ市のワイナリー、そして青森駅近くのシードル工房をご紹介しました。
気になるスポットがあれば、ぜひ実際に足を運んでみてください。
新しい発見、お気に入りのワインやシードルとの出合いなど、知るほどに青森の魅力を感じられるはずです。





















