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青森の冬の奇跡を見つける旅

大自然が作り上げる雪と氷の美景を巡る

青森の冬の奇跡を見つける旅

青森は全国でも有数の豪雪地帯。

冬になれば当たり前のように雪が降り、銀世界が広がります。

今回は自然豊かな青森の雪景色や冬の暮らしを感じる体験をお届けします。

四季折々のさまざまな景色に移り変わる青森で、冬はまるで別世界に迷い込んだような気持ちになりました。

幻想的な美しさに息を吞む。奥入瀬渓流の「氷瀑」

馬門岩の氷瀑


奥入瀬(おいらせ)渓流は、青森県の十和田湖子ノ口(ねのくち)を起点とし、両サイドを断崖に囲まれた約14kmにわたって続く渓谷です。十和田八幡平国立公園に属し、国の特別名勝及び天然記念物に指定された景勝地。夏は新緑、秋は紅葉と、国内のみならず国外からも観光客が訪れる青森でも有数の観光スポットです。

雲井の滝


冬の奥入瀬は、銀世界が広がるだけでなく、凍てつくマイナスの寒さから氷が張り、時が止まったような世界を見ることができます。氷瀑はその一つ。渓流沿いに点在する14本の滝が凍り、氷柱となって楽しめます。また、渓谷内の滝だけでなく、奥入瀬の豊富な水量によって崖から湧き出る水が氷柱となり、あちこちで氷のアートのような光景を見ることができました。

銚子大滝


中でもやはり奥入瀬渓流を代表する「銚子大滝」は圧巻です。幅20メートルの滝が氷となり、絵画となって切り取ったような世界。この自然が描いた氷柱は毎年同じ形となるわけではなく、また日によっても異なります。今日この瞬間に見た景色が一期一会。来年も見られるとは限らない貴重なものなのです。

雲井の滝


次に向かったのは「雲井の滝」。約20メートルの落差を3段に分けて水が落ち、その雄大な自然を見せつけますが、冬は見事に滝が氷となり、寒さを忘れてしまうような美しさでした。そして驚きなのが、滝つぼまで進めたこと。夏場はもちろん滝つぼまで進むことはできません。冬は氷や雪によって足場ができ、滝が触れるような間近まで進むことができました。冬ならではの楽しみ方です。

馬門岩氷瀑ライトアップ

馬門岩氷瀑ライトアップ


氷瀑が見頃になる時期になると、夜の奥入瀬渓流に漂う冷たい空気までも体験できる「冬の奥入瀬氷瀑ナイトツアー」が実施されています。ガイドさんと一緒にバスで夜の奥入瀬を巡るツアーで、専用のライトカーからの光に照らされ氷瀑は迫力を増し、青や緑に輝きます。極寒の中でしか見られない神秘的な光景に、思わず息を吞むはずです。

奥入瀬渓流


冬の奥入瀬は氷瀑がメインの楽しみ方になりますが、手付かずの自然林が続く渓谷では、木の枝や岩の上などに積もった雪や影のコントラストが美しく、静寂の中でふと時間がたつことを忘れてしまいます。氷柱は天候や気温などの条件で大きく左右されてしまうもの。その日に見た光景はその日にしかありません。しかし、それこそが冬の景色を楽しむ醍醐味ではないでしょうか。

奥入瀬渓流

奥入瀬渓流はミシュラン・グリーンガイドで二つ星に選ばれた観光名所。約14km続く渓流は、どこを歩いても絶景の連続!バスや車でビュースポットを巡るのも良いですが、時間と体力が許せばぜひ歩いて散策を。自然で作られた緑のトンネルや遊歩道を散策すれば、澄みきった森の空気や、木漏れ日にきらめく水面、表情豊かな清流、葉や苔の可愛らしさなど、自然が織りなす美しさを余すことなく堪能できます。more

グルメメモ
氷瀑を食べる!? 十和田市現代美術館のりんごパフェ

2色のアメ細工を奥入瀬渓流の氷柱に見立て、トッピングしたのがこの彩り豊かなパフェ。十和田奥入瀬観光機構主催の氷瀑ツアーに合わせ、期間限定で提供しています。パリパリとアメを食べた先には、甘すぎないサッパリとしたリンゴづくしのジェラートやゼリーが味わえます。おかわりもできちゃいそうなパフェでした。
カフェ&ショップ cube cafe & shop 

グルメメモ
氷瀑を食べる!? 十和田市現代美術館のりんごパフェ

十和田市現代美術館

十和田市現代美術館では草間彌生やロン・ミュエクなど、世界で活躍するアーティストの作品を常設展示。美術館の向かいにあるアート広場でものんびりと作品を鑑賞することができます。more

神秘的な世界に迷い込んだような八甲田の樹氷「スノーモンスター」

冬の八甲田といえば「雪中行軍」のイメージが強く、吹雪や豪雪といった風景を思い浮かべます。厳冬の八甲田は「生きては帰れぬ白い地獄」といった言い伝えがある通り、吹雪く日が多く、まさにイメージの通りですが、晴れた日には異世界に迷い込んだような雪で造形された「樹氷」が並びます。まずはそんな幻想的な光景からご覧ください。

この景色を見る方法は、青森市街から1時間ちょっとの移動時間だけです。八甲田ロープウェーまでは車で約40分。そこからロープウェーに乗車し、約15分で標高1,324メートルの山頂に着くことができます。交通アクセスの良さも魅力の一つ。意外と簡単に見ることができることは驚きです。

この日は出発前から天候に少し心配がありました。八甲田の天気を調べると山頂はすでに吹雪です。調べ方は八甲田ロープウェーのホームページがオススメ。リアルタイムで運行状況が確認できる点も便利です(八甲田ロープウェーホームページはこちら)。八甲田に登る前から雪は降っていないものの天気は曇り。八甲田は雲で見えていません。それでもロープウェーは運行中とのことでしたので、淡い期待を寄せながら八甲田ロープウェーへ出発しました。

2月の八甲田ロープウェーは、スキーやスノーボードを楽しむ人たちでにぎわいます。山頂の風速は20メートルとのこと。ロープウェーは運行していたので、予定通り山頂を目指します。移動中、支柱の高さ55メートルから広がる景色に一瞬心躍りましたが、いざ山頂に到着すると、そこはホワイトアウトの世界。

「山の天気は変わりやすい」と言われますが、インターネットを駆使すればある程度は予測ができるようになりました。事前にチェックし、今回のように山頂で何も見えなかったと、残念なことにならないようにタイミングを図り、八甲田の樹氷を楽しめるよう健闘を祈ります。

八甲田山の樹氷

厳しい風雪に耐えた八甲田の木々が、まるで雪のモンスターの様な迫力で、しかも美しく見事な樹氷へと姿を変えます。その樹氷の中を散策し温泉を堪能するツアーもあります。more

異国の終着駅に着いたような津軽のストーブ列車

青森の冬を楽しむ最後の目的地は五所川原。五所川原は立佞武多や昭和の文豪・太宰治の出身地などで有名ですが、ここには本州最北を走る私鉄「津軽鉄道」があります。冬の津軽鉄道と言えば、雪原の中を走り、車内のダルマストーブで寒さをしのぐストーブ列車が人気です。

ストーブ列車は12月から3月にかけて運行する期間限定の特別列車です。昭和20年代に製造された車両は木製の椅子や床、初めて見るような仕掛けなども。それだけでも心が躍ります。ダルマストーブは空調設備がなかった時代の車両であるため、車内を暖めるためにボックス席を外して設置されました。火を調整するのは車掌。定期的に石炭を入れ、その姿も時代を感じます。

ストーブの熱を利用して焼いて食べるスルメはこの列車の美味しい楽しみ方の一つです。焼き始めると車内はイカの香ばしい匂いですでに美味しさが伝わってきます。スルメは車内販売していますので、乗車後でも購入可能。併せて日本酒も買えば、スルメは最高のおつまみに早変わりです。

そして、地元民でも味わいを感じるほどの津軽弁の車内アナウンスは、楽しいBGMとして旅情を高めます。五所川原駅から出発して約20キロの路線を40分程度かけて移動した先にある終点・津軽中里駅。この間、今では貴重となった金属製のタブレット(列車の衝突を防ぐための仕組み)の交換や踏切の「カンカンカン」といった音まで懐かしさがあちこちにあり、往復するだけでもちょっとした旅行気分が味わえます。


列車は年代ものなので、車窓の隙間から風が入ってきました。普段なら文句も言ってしまいそうなことですが、ダルマストーブとの温度差が心地よく、車窓から眺める雪景色もどこまでも美しい。そんなことも楽しめる旅ができました。

津軽鉄道・ストーブ列車

毎年恒例のストーブ列車が、今年も雪の津軽を走ります。通常2両編成で、車内は懐かしいノスタルジックな作りとなっています。1両に2台置かれたダルマストーブの燃料は石炭です。赤々と燃える石炭ストーブの周りにはたくさんの人が集まり、地元や他県の言葉が行き交う、憩いの場となります。 more

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