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”白神巡礼” 〜ヨシダナギが写す、白神山地の新しい魅力〜

”白神巡礼” 〜ヨシダナギが写す、白神山地の新しい魅力〜

青森県から秋田県にまたがり、世界最大級のブナの原生林として世界遺産にも登録される白神山地、その豊かな自然、周辺に暮らしてきた人々の営み、文化・歴史などをめぐる青森の旅を、「白神巡礼」というコンセプトで切り取り、TRANSIT(雑誌・WEB版:3月5日〜掲載開始)およびDiscover Japan(雑誌:3月6日発売)にて展開しています。

そこに掲載される内容、およびカメラマン ヨシダナギさんとのキービジュアル撮影エピソードなどについてご紹介します。

 

 

“白神巡礼”キービジュアル

“白神巡礼” とは…

ただ珍しさを求める観光ではなく、目的をもって青森県および白神山地を深く知っていただきたいと考え“白神巡礼”というコンセプトに決めました。元々は、宗教聖地や霊場を巡ることで、教えを探求したり自らを高めようとするのが巡礼ですが、最近は、こだわりを持った人々により選ばれた場所(鉄道だとか、工場だとか)を巡ったり、映画やアニメ・漫画のロケーションを周る旅などにも用いられます。

共通するのは、古の聖人や映画・アニメのキャラクターと同じルートを辿り、同じ体験をすることで、より深く知りたい、感動や感激をしたいということだと思います。背景となる環境、歴史、いまも続く文化などを知れば、より楽しむことができるでしょう。
 
 白神山地やその周縁には、沢筋ごとに微妙に色合いを変える環境や地域文化、暮らしなど、歴史としてではなく、その森の豊かさのように、変わらず豊かな暮らしがあります。
 それらを様々なテーマで切り取り、”白神巡礼”としてまとめました。

photo ヨシダナギ


冬季は車両が通行止めとなる十二湖、その中でも人気の高い青池に隣接する「鶏頭場の池」にて撮影を行いました。

例年は青森市に比べて比較的雪の少ない十二湖周辺ですが、昨年末以降、数十年ぶりの大雪という中での撮影でしたが、冬の美しいブナ林と真っ白に雪に埋まった湖の美しさを捉えることができました。

4つの階層で迫る“白神巡礼”–雑誌TRANSITおよびWEB版

雑誌TRANSITのweb版では、白神山地および周縁における山の恵みとその暮らしを、「最奥」「森」「町」「海」の4つのレイヤーに分けて旅しました。

photo 船橋陽馬



-白神巡礼/最奥編- 主峰・白神岳からファザーツリーを巡る


深浦町から標高1,235mの白神岳登山や、十二湖散策、西目屋村からブナの巨木ファザーツリーへのトレッキングなど、地元・青森の山岳ガイドとともに、白神山地を歩きました。

photo 船橋陽馬



-森の白神巡礼編- 人と、動物と、植物と、山と隣合わせの暮らし


西目屋村で山と隣合わせに生きていたマタギ文化の話を聞いたり、ブナを使った木製品を制作する「BUNACO西目屋工場」を見学したり、山と密接につながっている人の営みを巡ります。

photo 船橋陽馬



-町の白神巡礼編- 青森の町に届く白神山地の恵み


白神山地から少し足を延ばして、津軽の文化都市・弘前市へ。老舗市場「虹のマート」や居酒屋で供される地元ならではの料理、手工芸品が集まるお店を訪ねました。また、岩木山周辺のスポットにも立ち寄ります。

photo船橋陽馬


-海の白神巡礼編- 山と海がつながる白神の輪


鯵ヶ沢町と深浦町にて、海岸線をドライブ。美味しい海の幸を頂きながら、漁師さんに聞いた山と海の話などをお届けします。

水をテーマに巡る“白神巡礼”–雑誌Discover Japan

雑誌 Discover Japanでは、豊かな自然が育んだ美しい“水”をテーマに、白神山地はもとより「水」「川」「海」そして「歴史」や「土産」といった品々やスポットを巡ります。

白神山地の“水”を、美しい風景として楽しむならなんといっても十二湖です。車だけでは辿り着けない糸畑の池には、秋の紅葉と大崩が映り込みます。
 


 -水がもたらした青森の文化にどっぷり浸かる-

かつては幻の魚と言われ、青森県では鯵ヶ沢町と深浦町で養殖されるイトウの握りや北前船の時代に京都から伝わった銘菓「鯨餅」など、当地ならではの品を味わえるスポットも紹介しています。



“白神巡礼” という新たなテーマで発見した青森の旅をお楽しみください。


・TRANSIT … 3月15日発売(WEB版3月5日より配信)

・Discover Japan … 3月6日発売

ヨシダナギさんとの撮影

キービジュアルの制作にあたって、5日ほどの行程をヨシダナギさんにご一緒頂き、深浦町を中心に様々な場所で撮影を行いました。

ヨシダナギさん コメント

「今は亡き祖父が浅虫温泉の出身なので、青森は個人的にゆかりを感じる場所です。

今回の撮影も、大好きだった彼の姿を思い出しながら挑みました。例年とくらべ稀にみる大雪のなか、モデルを務めてくださった岩谷さんは吹雪ふく寒空のもと、晴れ間をただ待つ時間にもキツイ顔ひとつせず、ひたすらに笑顔で「全然大丈夫だよ」とおっしゃってくださいました。

そんな雪国 青森という土地に住む人々が持つたくましさとおおらかさ、そしてチャーミングさを、見事に雪化粧を施された世界遺産の白神山地と荒々しい日本海を背景に写しだせていたらいいなと思っています。」
 

岩谷さん(モデル) コメント

「僕らにとって白神山地は特別なものではなくて、「様々な恵みをもたらす存在」。山が森や生き物を育み、山の栄養が海のプランクトンを豊かにし、それが海の幸へと繋がる。山と海は密接に関係しているんです」と、話すのは、今回モデルを務めて頂いたキャリア25年の白神山地ガイド岩谷幸広さん。山で狩猟もされておりこの地を知り尽くした方にお願いをした。


――今回モデルを初めてやってみて、いかがでしたか。

「まさか自分がモデルになるなんて思わなかった。寒さは慣れているので平気だったよ。」


 ーー山の人々の文化・暮らしはどう受け継がれていると考えますか?

「僕らはマタギの文化が色濃く受け継がれていると思う。深浦町にはアニマタギ、赤石マタギ、目屋マタギと3つの流派があり、僕の師匠はアニマタギだったので、アニマタギの文化を受け継ぎました。例えば熊撃ちをして授かり物を頂く際は熊を仰向けにし、お祈りをして魂を抜く儀式があります。師匠から必ずやるように教わったので、今でもやっています。他には、新しい年の大漁や五穀豊穣を願う岩崎産土講裸参りを毎年開催していますね。裸の男衆が、巨大なしめ縄と米俵を担いで「サイギ、サイギ」と威勢よく声を響かせながら町内を練り歩きます。農林業守護の武甕槌(たけみかつち)神社と、漁業船運を司る宗像神社へ二手に分かれて駆け出し、どちらが早く鳥居にしめ縄と米俵をかけ終えるかを競うのですが、海の方が近いので毎年、海側が勝ちますね(笑)」


快くモデルを引き受けてくださった岩谷さんに改めて感謝の意を表したい。

 

 

 

岩崎産土講裸参りの様子




年末に大雪が降った年明けの1月、例年にない積雪とのことで、移動する道の両側には雪が堆い壁になっていました。

青森市に比べると比較的積雪の少ない日本海側でも、ほとんど毎日雪が降る状況のため、その合間を縫って撮影を行いました。

十二湖周辺では、雪の中を徒歩で移動しつつ、さらに寒さにも耐えなければなりませんでしたが、雪の合間の曇りの時間も多くて助かりました。

 

 

象岩周辺の海辺では、吹雪いている時間の方が多く、その合間に一瞬顔を出す光を待っての撮影となりました。写真の真ん中あたりに撮影スタッフが小さく写っているのがわかるでしょうか?

photo ヨシダナギ



奇岩(象岩など)が連なる絶景スポットの岩場にて撮影。時折海からの風に煽られ、雪の吹雪く中で撮影しました。一瞬顔を覗かせた夕日を背景に、冬の日本海のドラマチックな美しさを写真に収めることができました。



まとめ…


取材は秋の終わりに間に合いましたが、キービジュアルは普段あまり見ることのない冬の白神山地の美しい風景を切り取りたいと、例年にない豪雪の中での撮影となりました。

ですがそれぞれの現場へ行ってみると、豪雪の中でも山間部やブナ林の中は意外と穏やかだったり、それに対して海辺は猛吹雪…かと思えばその合間に突然青空や太陽が顔を出し雲間から光の帯が海への注ぎ込むのを目にしたり、とても多くの心に残る風景と出会うことができました。

白神山地というと初夏の新緑や秋の紅葉と思いがちですが、自然の厳しさを感じる冬場だからこそ、山や森そして海の一瞬の穏やかさに心奪われる旅が味わえるかも知れません。

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