2024 弘前の絶景紅葉スポット
歴史や伝統文化と共に楽しむ桜紅葉(さくらもみじ)
弘前公園はみなさんも知ってのとおり、日本一の桜の名所として有名なスポット。
ですが、公園内には桜のほかにも大イチョウやカエデの樹など、さまざまな樹木があるのをご存知ですか。
秋の弘前は桜紅葉(さくらもみじ)が主役となり、艶やかな桜の時期とはまた違った趣と彩りを楽しむことができます。
弘前公園をはじめ、秋も見どころがたっぷりな弘前の絶景紅葉スポットへご案内します。
桜まつりとは違った魅力と美しさが際立つ ~弘前城菊と紅葉まつり~
「弘前城菊と紅葉まつり」は、紅葉を楽しみ、お互いに育てた菊を持ち寄って品評会などをおこなっていた観楓会が発展して昭和37年に「菊ともみじまつり」という名称で始まり、現在まで続いている秋のイベントです。
毎年11月の初旬に開催され、弘前公園にあるおよそ1000本の楓、2600本の桜が色づいて、桜の時期とはまた違った、一層にぎやかな景色を楽しませてくれます。
期間中は弘前公園・弘前城植物園の各所に菊人形や菊の寄せ植えが飾られ、紅葉をより華やかに演出していますよ。
桜の樹は落葉広葉樹なので、紅葉の時期になると外堀から内側にかけてゆっくりと美しく色づきます。弘前公園を囲む外堀は公園のなかでもいち早く色づき、桜紅葉(さくらもみじ)でトンネルができるんです。
春には淡いピンク色のトンネルだったこの場所。弘前公園の桜の美しさを支える「桜守」によって大切に手入れされてきた桜だからこそ、水面に鮮やかなオレンジが反射する美しいトンネルが見られます。
季節を追うごとに違った景色に出会えるのもポイントです。
赤、オレンジ、黄色…色とりどりの紅葉が重なり合っているので、どこで立ち止まり、どこを切り取っても色が飛び込んでくるのも弘前公園ならでは。一歩一歩進むごとに変わる景色を楽しめます。
樹齢300年のイチョウが織り成す黄色い絨毯 ~根上がりイチョウ~
弘前公園内には、樹齢200年~500年の大木が至るところに点在しています。なかでも一際目を引くのが、鮮やかな黄色に紅葉した樹齢300年以上の大イチョウの樹。この樹は「根上がりイチョウ」と呼ばれ、写真を見て分かるとおり根が完全に露出していることから「根上がり」と呼ばれるようになったのだそうです。
大イチョウを目の前にすると、長い年月、どのようなときもその場にいて歴史を見てきたような重厚感と温かみが感じられます。
地上に出た根にイチョウの葉が降り積もり、辺り一面を黄色に染め上げていく様子が見られるのは、この時期だけです。
紅葉のライトアップで妖艶な雰囲気
菊と紅葉まつりの期間中、弘前城天守や櫓、城門の通常ライトアップに加えて、カエデと桜の紅葉の特別ライトアップを行います。昼間とはまた違った紅葉の魅力が楽しめるライトアップです。
弘前ねぷたの山車に使われた和紙を使った燈籠が、柔らかい光で夜道を照らしてくれています。紅葉と相まって、日本らしい和の雰囲気をたっぷりと堪能できますよ。
旅人メモ:喫茶室baton
弘前市民会館内にある「喫茶室baton」は、モダンでスタイリッシュな雰囲気の人気カフェ。
店内にはテラス席への出入り口があり、晴れた日には隣接する弘前公園の紅葉を眺めながら食事が楽しめます。
弘前市民会館の象徴となっているステンドグラス「青の時間」をイメージして生まれたのが、喫茶室baton特製「五色のゼリーポンチ『青の時間』」です。ぶどう、白桃、青りんご、カシスなど、津軽のくだものを使ったゼリーで、ステンドグラスの色彩をそのままに表現しています。
食べるとさまざまな味が混ざりあって楽しく、見た目にも美しい、ここでしか食べられないゼリーポンチです。
人気のスイーツ「ベリーベリーソースのパンケーキ」は、思わず写真を撮りたくなるような華やかなパンケーキです。数種類のベリーが贅沢に混ざったソースと、甘さ控えめなパンケーキがぴったりとマッチしています。このほかにも美味しそうなスイーツがたくさん。弘前公園内の散策に疲れたらぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
画に描いたような紅葉と五重塔 ~最勝院~
弘前公園からほど近い最勝院も、美しい紅葉が見られる名スポット。最勝院のシンボルである五重塔は、国指定重要文化財に指定されているんです。細部にわたり見るものを飽きさせない優れた建造物で、文化財の指定説明にも「實ニ東北地方第一ノ美塔ナリ」とあるなど均整のとれた美しい姿として有名です。
五重塔の周囲にある木々は、昼夜の寒暖の差によってゆっくりと美しく紅葉します。白い石畳にもみじが映えます。
また、最勝院は干支の卯(うさぎ)を祀っている寺院でもあります。境内の随所にうさぎがいるので、隠れたうさぎを探してみても面白いかもしれません。
旅人メモ:戸田うちわ餅店
最勝院から歩いて5分ほど。住宅街のなかに佇む「戸田うちわ餅店」は、100年以上続く老舗の餅店です。地元弘前では知らない人はいないほどの有名店だそうで、開店前から店の前には行列ができ、売り切れ次第閉店してしまいます。
名物は店名にもある「うちわ餅」で、平べったい薄切り状の餅に串が刺さっている見た目がうちわにみえることから、「うちわ餅」と呼ばれているのだそうですよ。
時代を感じさせる店内。串餅の味はごまだれとくろみつだれの2種類です。注文すると、その場でたっぷりのたれをつけてくれます。餅もたれも、その日の朝にその日売り切る分だけ仕込んでいて、添加物も一切不使用です。お皿に残ったたれまで食べたくなるような、ずっと食べていたくなるようなうちわ餅。一度行ったら、もうやみつきです。
東北最大級の日本庭園 ~藤田記念庭園~
藤田記念庭園は弘前市出身で日本商工会議所初代会頭を務めた実業家・藤田謙一氏が、大正8年に別邸を構えるにあたって、東京から庭師を招いてつくらせた江戸風な趣の庭園です。
総面積は約21,800㎡(約6,600坪)あり、東北地方においても有数の規模を誇っています。風格ある門構えや洋館など、変化に富む景観を楽しみに、たくさんの観光客が訪れるスポットとなっています。
紅葉の時期には計算して手入れされた庭園の樹木が美しく色づき、まるで1枚の画を見るようです。晴れた日には庭園から岩木山も望めますよ。
庭園内にある、赤いとんがり屋根がかわいらしい洋館。その1階にある「大正浪漫喫茶室」は、レトロモダンな雰囲気を肌で感じることができるすてきな空間です。店内奥にあるサンルームからは庭園を眺めることができ、サンルーム席を目当てに来る観光客も多くにぎわっています。
そんな特等席でいただくスイーツは格別の味わい。「大正浪漫喫茶室」では、弘前市内にある洋菓子店やパン屋さんのアップルパイ7種類が提供されており、アップルパイを選んで食べることができます。アップルパイだけで7種類もの中から選べるなんて、りんごの生産量日本一の弘前市ならではです。
旅人メモ:クラフト&和カフェ匠館
「大正浪漫喫茶室」と同じく、庭園内にはもうひとつカフェがあります。「和」をテーマにしたカフェ「クラフト&和カフェ匠館」は、喫茶スペースでおばんざいランチや和風パフェ、季節のかき氷を楽しめるほか、こぎん刺しや津軽塗(つがるぬり)などの伝統工芸品を揃え、展示販売しています。
弘前市は城下町であったことから、さまざまな伝統文化が根付き、醸成されてきました。津軽地方における漆器産業の代表格である「津軽塗」の製品は、お箸や御椀などの食器類から、名刺入れなど個性を主張するのにぴったりな商品までさまざまです。
匠館オリジナルの「ほたて貝のカスタネット」や「カキ氷こけし」など、ここでしか手に入らない工芸品もあるので、ぜひじっくりと商品を手に取ってみてくださいね。
城下町であり、昔ながらの建物や文化を今でも大切にしている弘前市ならではの紅葉スポットをご案内しました。
弘前市の紅葉スポットは、自然の美しさはもちろん、その街で紡がれてきた歴史と共に楽しめるスポットばかりです。遠目から眺めるだけでなく、車から降りて、ぜひ歩いて街並みや公園を散策してみてくださいね。歴史ある建物や樹木、工芸品など、さまざまなものから時の流れを感じられるはずです。
※この記事は2021年度に制作したものです。
- 弘前公園 根上がりイチョウ
- 弘前公園 外堀(追手門)
- 最勝院五重塔
- 藤田記念庭園
- 喫茶室baton
- 戸田うちわ餅店
- 大正浪漫喫茶室
- クラフト&和カフェ匠館