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歴史を受け継ぎ、息を吹き返す。蔵や銭湯のリノベーションスポットを巡る黒石レトロ街歩き

歴史を受け継ぎ、息を吹き返す。蔵や銭湯のリノベーションスポットを巡る黒石レトロ街歩き

暑さが落ち着き、心地よい風に少しずつ秋の気配を感じるようになってきました。

こんな過ごしやすい季節には、のんびりと街歩きへ出かけてみませんか?


ふらりと気の向くままに歩くのも旅の醍醐味ですが、今回はひとつのテーマを決めて巡ってみることに。

そのテーマは「リノベーションスポット」です


向かったのは、青森市の南西に隣接する黒石市。 

黒石市の「こみせ通り」は藩政時代から今に至るまで、伝統的建造物が多く残るアーケード状の風情ある通りです。

こみせとは、雪や雨をしのぐために作られたアーケード状の通路のことで、雪国特有のもの。

中町通りの家々は特に保存状態が良く、情緒溢れる町並みは「日本の道百選」にも選ばれています。


この「こみせ通り」を中心に、歴史ある建物を大切に受け継ぎながら、新しく生まれ変わった黒石のリノベーションスポットを巡る1日街歩きプランをご紹介します!



1.手作り雑貨・体験工房 IRODORI

横町エリアを歩いていると目に飛び込んでくる、白壁がひときわ存在感を放つ大きな建物。

 元は米蔵だったというこの場所に、「手作り雑貨・体験工房 IRODORI」があります。

暖簾をくぐって一歩足を踏み入れると、高い吹き抜けの天井から大きな灯ろうが吊るされ、店内には色鮮やかな灯ろうやうちわがずらりと並んで迎えてくれます。

これらはすべて実際の「黒石ねぷた」に貼られていたねぷた絵から作られています。

道幅が狭い通りを運行する黒石ねぷたは、他地域の山車と比べてコンパクトな分、繊細で緻密な筆遣いが特徴です。

絵師さんによって使われる和紙や染料もさまざまで、なかには十数色もの色を使われる方もいるのだそう。

ねぷた絵は蝋(ろう)も使用して描かれているため、明かりを透かすと淡く発光するように見えるとか。


IRODORIでは、ねぷた絵を使った団扇や灯ろうなどが購入できるだけでなく、制作体験も楽しめます。 

今回は体験メニューの中から「灯ろう(二段)」作りに挑戦してみました!


まずは、灯ろうの木枠に貼るねぷた絵選びから。 

ねぷた絵を四角くカットした紙の中から好きなものを選んでいきます。

色も模様も一枚一枚全て異なるので、非常に迷います…。

唸る私に、スタッフさんから「一面ずつ四季を意識して選ぶと、季節ごとに違った灯ろうが味わえますよ」という天の一声が…!

なるほど!とそのアドバイスをもとに紙を選んでいきます!

組み合わせる絵柄はもちろん、紙の角度を90度変えるだけで、灯ろうの雰囲気がらりと変わるとのこと。


悩みながらもなんとか全ての紙を選び、並べ方も決定!

紙を糊で木枠へ貼り付けていきます。

工程自体はシンプルなので、初心者や小さなお子さんでも気軽に楽しめます。


一枚ずつ丁寧に貼っていき…

世界にひとつだけのオリジナル灯ろうが完成!

点灯すると、光が透けることで黒石ねぷたならではの色彩の美しさが際立ちます。

工房では、貴重なカット前の「見送り絵」も見せていただきました。間近で見るねぷた絵は、声が漏れてしまうほどの迫力です。

毎年新しく制作されるねぷたは、祭りの運行を終えると役目を終えて解体・処分されてしまうことがほとんどでした。

「その美しい絵をなんとか有効活用できないか」と、地元の「NPO法人 横町十文字まちそだて会(以下、まちそだて会)」が立ち上げたのがこのIRODORIです。

使用するねぷた絵は各団体の温かいご協力のもとで譲り受けており、「黒石ねぷたがこれからも長く続いてほしい」という願いを込めて、まちそだて会から各団体へ協賛金をお渡ししています。


黒石の夏を彩る黒石ねぷた。

その美しさが詰まった、あなただけの灯ろうををぜひ作ってみてください。



【手作り雑貨・体験工房IRODORI】

住所:青森県黒石市横町24−3

営業時間:平日  11:00〜15:00

     土日祝 10:00〜16:00

定休日:火曜日

電話番号: 0172−55−6188

駐車場:近隣の駐車場をご利用ください。

公式情報: [手作り雑貨体験工房IRODORI 公式Instagram]

※営業時間や定休日は変更となる場合があります。お出かけ前に必ず公式SNSをご確認ください。



2. 創作料理の店 蔵よし

たくさん手を動かしてお腹が空いてきたら、お昼は「蔵よし」さんへ。 

その名の通り2軒の蔵をリノベーションしたお店で、外観も内装も和の情緒にあふれています。

こちらの蔵は、「池田屋」という酒屋さんの酒蔵として弘化2年(1845年)に建てられたもの。

江戸時代にはここでお酒が作られていたのだと思うと、歴史の重みを感じます。 


団体用の「天保の間」は、もともと2階建てだった空間を吹き抜けにしており、開放感たっぷり。

部屋の中央にどっしりと鎮座する大黒柱には、「本堂内部根継ぎの十字目違(じゅうじめちがい)」と呼ばれる宮大工の高度な伝統技法が用いられています。 

天保の間(天保の間は団体予約用です。一般のお客様はお食事いただけません。)


展示ケースには、当時の棟梁が記したと思われる「天保十六年 弘化二巳年」の文字が残る木板や、古い金具なども大切に残されており、黒石の歴史を肌で感じることができます。

では、お食事の席に戻りまして、今回いただいたのは、つゆ焼きそばセット「こみせ」。

黒石名物のつゆ焼きそばに、握り寿司、津軽ならではの甘い茶碗蒸し、岩木山の嶽きみ天ぷら、七戸産長芋の浅漬けと、津軽の食の魅力がぎゅっと詰まった豪華なセットです。

蔵よしの「つゆ焼きそば」のお召し上がり方カード


つゆ焼きそばは、お店の方のおすすめに従い、かき混ぜる前にお出汁をひと口。 

本鰹の上品な出汁がしっかり効いていながら、あっさりと飲みやすく、これだけで飲み干してしまいたくなる美味しさ! 

続いて、特徴的な平太麺をいただきます。もちもちとした麺にソースとお出汁が絶妙に絡み合います。

出汁をくぐらせることで一般的な焼きそばよりもあっさりといただけて、お箸が止まりません。蔵よしさんのつゆ焼きそばは、サクサクの舞茸天とプリプリの海老天が添えられているのも嬉しいポイント。 

食べ進めるうちにソースとお出汁がじんわりと溶け合い、また味わいが変化していくので、最後まで飽きのこない美味しさ。

いただくもの全て美味しく、非常に満たされる黒石ランチでした。



【創作料理の店 蔵よし】

住所:青森県黒石市横町13

営業時間:昼 11:00〜15:00(ラストオーダー 14:30)

     夜 17:00〜20:30(ラストオーダー 20:00)

定休日:水曜日

    12月31日〜1月2日まで、8月13日

電話番号:0172−53−2111

駐車場:あり

公式情報:[創作料理の店 蔵よし 公式HP]

 ※営業時間や定休日は変更となる場合があります。お出かけ前に必ず公式HPをご確認ください。



3. 松の湯交流館

お腹が満たされたら、午後の街歩きへ。 

こみせ通りをのんびり歩いていると、建物の屋根を突き抜けて天へと伸びる大きな松の木を発見。

樹齢はなんと推定三百五十年! 

江戸時代からこの街を見守り続けている大樹です。


 まじまじと見上げていると、後ろから「触ってみてください、パワーがもらえますよ」と温かい声が。 

声の主は、松の湯交流館館長の今井さん。 


「近所のおばあちゃんが毎日散歩のたびにこの木に触って、『力がもらえるよ』と言っていたんです」

それ以来、今井さんも木に触れるようになったのだそう。

私も大先輩の松の木から、パワーを分けていただきました。

松の木の力をいただいたあとは、「ゆ」の暖簾をくぐって館内へ。

こちらは平成5年(1993年)に惜しまれながらも営業を終了した「松の湯」をリノベーションし、平成27年(2015年)に新たに地域の交流拠点として生まれ変わった「松の湯交流館」


足を踏み入れると、すぐにタイル張りの懐かしき湯船と木製の番台がお出迎え。

写真は今井館長。ちなみに今井館長はねぷた絵師としても活躍されている多才な方です!(番台は実際に座れます)


この湯船は銭湯時代の女湯を残したもの。

ライオンの湯口や広告の貼られた鏡、入浴時の注意書きなどがそのまま残されており、なんと湯船に入って記念撮影をすることも可能です(うちわや被り物も自由に使用できます!)

さらに、貫(かん)単位の体重計や「東京市」表記の温度計、使い込まれた木製の下駄箱など、レトロ好きの心をくすぐる貴重なアイテムがあちこちに。

館内には銭湯スペースだけでなく、かつての居住スペースを活かした「お休み処」と「交流の間」があります。 

昔ながらの囲炉裏が残るお休み処を抜け、交流の間の窓に目を向けると、津軽の伝統的な庭園様式「大石武学流(おおいしぶがくりゅう)」の庭園が広がります。

秋になると美しい紅葉が楽しめるそう。(交流の間はレンタルスペースになっており、申請することで借りられます)

今井館長おすすめの過ごし方は周辺の菓子店で好きなお菓子を買い、庭園を眺めながらのんびりすること。


館内にはお土産も売られており、お買い物も楽しめます。

愛らしいこけス(こけし×チェスでこけス)


実際に運行されたねぷた山車の絵柄が当たる「ミニねぷたガチャ」も人気があるそう!

黒石の思い出としてデスクやお家に飾るのも素敵ですね。

すでに今年のねぷたが!(取材は9月上旬)今井館長のねぷたも!



【松の湯交流館】

住所:青森県黒石市大字中町33

営業時間:9:30〜18:00

定休日:年末年始

電話番号:0172−55−6782

駐車場:あり

公式情報:[松の湯交流館 公式HP]

 ※営業時間や定休日は変更となる場合があります。お出かけ前に必ず公式HPやSNSをご確認ください。




4. abCoffee(エービーコーヒー)

松の湯交流館をじっくり見学したあとは、敷地内の裏手に佇む「abCoffee」さんへ。

こちらも蔵を改装したカフェ。

蔵の重厚な入り口には立てかけられた黒板メニューと、ソフトクリームの可愛い電飾看板があります。

扉を開けると、自家焙煎コーヒーの芳醇な香りに包まれ、コーヒー好きにはたまらない癒やしの空間が広がっています。

今回いただいたのは、名物の「黒ラテ」と「エスプレッソソフト」。

「黒石だから黒ラテ」というネーミングも楽しい黒ラテ、黒の正体は竹炭。

食用竹炭を使った真っ黒なラテに美しいホワイトのラテアートが映える一杯です。

炭自体にクセはなく、隠し味にほんの少しチョコレートを加えているそうで、まろやかなミルクの甘みとコーヒーのコクが広がるホッとする味わいです。

ビジュアルのインパクトがすごい


「黒」のコーンに盛り付けられたエスプレッソソフトも絶品。 

濃厚なミルクとコーヒーの苦味が絶妙にマッチ、控えめな甘さにペロリと食べてしまいました。

abCoffeeさんで焙煎した豆を使用しているとのことで、納得の美味しさです。

豆の種類は変更になることもあるかも、とのお話なので、何度でも味わいたいソフトです。

コーヒーのほか、地元・黒石産りんごジュースや田舎館村産イチゴを使用したイチゴミルクなども揃っています(品切れの場合もあります)



【abCoffee】

住所:青森県黒石市中町33 松の湯交流館敷地内

営業時間:10:00〜17:00

定休日:水曜日

駐車場:あり

公式情報:[abCoffee 公式Instagram]

 ※営業時間や定休日は変更となる場合があります。お出かけ前に必ず公式SNSをご確認ください。




5. 一棟貸し宿泊施設 灯リ蔵(あかりぐら)

街歩き番外編としてご紹介したいのが、今年の8月にオープンした注目のリノベーション宿。 

実は最初にご紹介した「IRODORI」が入る大きな米蔵の奥半分が、一棟貸しの宿泊施設「灯リ蔵(あかりぐら)」になっています。

(提供:横町十文字まちそだて会)


暖簾をくぐって足を踏み入れると、高い吹き抜けの天井からいくつものねぷた灯ろうが吊り下げられ、幻想的な温かい光が空間を満たします。 

まさに「灯リ」が特徴的なお宿です。

広々としたリビングダイニングには小上がりの和室が設けられ、畳の香りと木の温もりを感じる居心地の良い空間に身体も心も癒されます。

寝室にはりんごの手籠を使用したの灯ろうが吊るされており、部屋ごとに異なる光の表情が楽しめます。

(提供:横町十文字まちそだて会)


(提供:横町十文字まちそだて会)


運営を手がける「横町十文字まちそだて会」理事長の村上陽心さんにお話を伺うと、構想から2年、約半年をかけて蔵本来の風合いを生かしながら改装されたとのこと。

「立ち寄るだけでなく、黒石にゆっくり滞在して街の日常や空気感を味わってほしい」という願いから生まれました。 

こみせ通りや夜の飲食店街へも徒歩数分という抜群の立地で、まるで黒石に暮らすように旅ができる拠点です。

※まちそだて会では、普段は閉じられている歴史ある商家の奥座敷などを案内してもらえる「黒石まち歩きツアー(要予約)」も開催されています。



【灯リ蔵】

住所:青森県黒石市横町24−3

料金:1泊 66,000円(1〜3名)、79,200円(4名)、88,000円(5名)

チェックイン:15:00〜20:00

チェックアウト:8:00〜10:00

公式情報:[灯リ蔵 公式HP]

 ※ダイナミックプライシングのため、料金は変動いたします。また、各時間は変更となる場合があります。ご予約前に必ず公式HPをご確認ください。




6. おまけ:歩いて見つけた、黒石のときめき風景

最後に、散策中に見つけた個人的な黒石ときめきポイントを2つご紹介します。

ひとつ目は「中町」のバス停。

三角屋根がちょこんとのった木製のデザインと、味のある「中町」の文字が、こみせの町並みに溶け込んでいて、とても可愛いです。

ふたつ目は、火の見やぐら館。

大正13年(1924年)建築で、まるで物語から飛び出してきたかのようなレトロモダンなビジュアル。

中には現役として、日本最古の消防車が入っています(※普段の見学は外観のみ)。


古い建物を単に残すだけでなく、リノベーションすることで歴史を大切に受け継いでいく黒石の街。

どこを訪れても、出迎えてくれる皆さんの温かな笑顔と深い黒石愛に触れ、心がぽかぽかと満たされる1日となりました。

心地よい風が吹き抜けるこの季節、カメラを片手に黒石のレトロな町並みをゆったり歩いてみませんか?



by 陸奥浪

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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