『冬の青森で鉄道旅 〜弘南鉄道でラッセル体験!りんごと食の旅〜』

『冬の青森で鉄道旅 〜弘南鉄道でラッセル体験!りんごと食の旅〜』

弘南鉄道のラッセル車 

こんにちは、やすこーんです。 「冬の青森で鉄道旅」はついに4回め。みなさま、鉄道旅を楽しんでいただけてますでしょうか。ラストは「弘南鉄道」に乗って、途中下車しながら旅します。 

趣のある中央弘前駅 弘南鉄道は、弘前駅から黒石駅の16.8kmを走る「弘南線」と、大鰐駅から中央弘前駅13.9kmを走る「大鰐線」の2路線あります。この2つの路線は繋がっているわけではなく、最も近い弘前駅と中央弘前駅の間は、徒歩だと約20分かかります。 


バスなど公共交通機関もありますが、中央弘前駅側はバス停がちょっと離れたところにあるので注意しましょう。昔、初めて弘南鉄道を訪れた際は、土地勘がなくて迷いました。

弘前れんが倉庫美術館 まずは大鰐線側から巡ります。 中央弘前駅の裏手にある「弘前れんが倉庫美術館」へ徒歩で向かいました。こちらは明治・大正時代に酒造工場として建設され、戦後はシードル工場に使われた建物を改修、2020年に開館した美術館だそうです。 

シードル工場時代に水を貯めていたタンクが今も屋根裏に残されています。 

常設展示 奈良美智《A to Z Memorial Dog》  ©Yoshitomo Nara私が訪れた際はあいにく展示の入れ替えをしていたのですが、併設されているカフェでアップルパイを楽しませていただきました。弘前はアップルパイが有名で、なんと市内にお店が40軒以上あります。 

写真映えするBRICKアップルパイ 「cafe & shop BRICK」には青森県の食材を使ったメニューがずらり。私のお目当ては、りんごの形をした「BRICKアップルパイ」です。それに吉野町シードルを合わせました。 

パイは私好みのサクサクタイプ! シードルはさっぱりとしていたので、甘いパイに非常によく合いました。 

ちなみに「シードル」とは、フランスで言う、りんごのお酒のことです。 

「クルックー」外観 さて、中央弘前ではもう一か所行ってみたい場所がありました。クレープ屋さんの「クルックー」です。こちらのお店の開業には、お笑い芸人の「シソンヌじろう」さんが協力したそう。 

青森県民のみなさまはご存知だと思いますが、じろうさんは弘前出身。かつてお気に入りだった、イトーヨーカドーの「ポッポ」のクレープの味を再現したお店です。 

店内にはじろうさんの台本や仲の良い芸人さん達のサインなどがあり、お笑いファンの聖地にもなっているようです。 

クルックーのチョコバナナクレープ 大人気店だと聞いていましたが、この日もすごい行列でした。迷わず、一番好きなチョコバナナクレープを頼みます。番号札をもらってしばらく待つと、出来立てが手渡されました。 

ふわふわなクリームとクレープがおいしくて、ぺろりと食べられちゃいました。しかも値段が安い! これは通ってしまいますね。近所の方がうらやましいです。 

大鰐線「りんごねぷた列車」 さて、ここからようやく列車に乗ります。大鰐線の車両は、「りんごねぷた列車」でした。車内はりんごのねぷたで彩られ、かわいくて華やかです。 

実はこちらの車両、もともとは東京を走っていた東急電鉄の車両です。青森で第二の人生を送っているわけですね。東京で乗っていた車両が地方でがんばっている姿を見るのも、私の趣味のひとつです。 

車内のハートの吊り革 吊り革はりんごをイメージして赤く塗られていました。実は1両に1つだけ、ハートの吊り革があります。見つけると恋が叶うと言われていると聞き、乗車してすかさず探しました。 

「マルヨ食堂」のラーメン 石川駅で途中下車。こちらから歩いて12分ほどにある「マルヨ食堂」にラーメンを食べに行こうと思います。弘前はラーメンも有名なのです。 

こちらのラーメンは懐かしさを感じる、昔ながらの醤油味。細めの縮れ麺で、スープがよく絡みます。メンマがたくさん入っているのも地味にうれしい。見た目以上にボリュームある一品でした。 

こぎん刺しのライトで照らされる「界 津軽」の庭園 再び大鰐線で終点の大鰐駅まで乗っていきます。本日の宿はここからタクシーで5分ほどにある星野リゾートの施設「界 津軽」です。 

館内に足を踏み入れると「津軽こぎん刺し」や「弘前ねぷた」の灯籠が出迎えてくれました。温泉にもそれらが置かれ、夜はさらにきれいでした。 

夕食は希少な「大鰐温泉もやし」を使った鍋 夕食は「大間のまぐろづくし会席」で、贅沢に鮪を堪能しました。おいしくて感動したのですが、最もテンション上がったのが、鮪のねぎま鍋に入っていた「大鰐温泉もやし」! 

実は大鰐温泉もやしを食べてみたくて探し回ったところ、時期でないためか出してくれるお店が見つかりませんでした。ここで出会えるとは思わなかった…! 

さすが高級な大鰐温泉もやし、シャキシャキとした食感が通常のもやしとはまるで違いました。 


旅は人との出会いも大切ですが、食べ物との出会いも大切です。旅における「食」は本当に重要ですよ。大事なことなので、2度言いました。 

「界 津軽」での朝食 翌朝の朝食にも感動しました。貝焼き味噌などもあり、青森の食を取り入れたバランス良い朝食だな、と思ったのですが、中でもこちらのお味噌汁。 

なんと日本で唯一、温泉熱で醸造している白味噌を使用しているそうです。利用している温泉は、もちろん大鰐温泉。そう言われてからいただくと、より味わい深く感じます。 

黒石駅への入口 翌日は、弘南線に移動。大鰐線で中央弘前駅〜弘前駅へ移動し、終点の黒石駅に向かいます。途中にある田んぼアート駅は、冬期は通過なのですね。ここでは色が違う稲を植えて絵を作る田んぼアートが有名で、昔、見に来たことがありました。 

さて、黒石駅では弘南鉄道の方にご案内いただき、ラッセル車を見学させてもらいます。 

大きなラッセル車 ラッセル(ラッセル車)とは、線路に積もった雪を取り除く役割をする除雪車両のこと。つまり雪が降った日に活躍する車両です。 

そしてこの日はまさにラッセル日和でした。そんな日和があるのかわかりませんが、数日前までは雪が全くなかったのに、取材前日にかなりの降雪があったのです。旅運が強くてよかったです。 

機関車の運転台 運転席に入らせてもらって、いろいろと見物。ラッセル車は主に列車が走行しない時間帯に線路上を走り、前面のくさび形ブレードで雪を左右にかき分けます。さらに横の翼を動かして、雪を線路脇に寄せたりする仕組みなども知ることができました。 

ちなみにラッセルは自走できないので、後ろにある機関車が押していきます。 

黒石名物「つゆ焼きそば」 ラッセルを堪能した後は、黒石駅近くにある「すごう食堂」で名物の「つゆ焼きそば」をいただきました。つゆ焼きそばとは、ソースで炒めた太めの平打麺に和風だしをかけて食べるそば。 

一見変わっていますが、食べてみると、不思議と懐かしい味に感じます。ソースの味も濃すぎず、寒かったせいもあり、汁も全部飲んでしまいました。

暖を取るためのお酒 さて、黒石駅に戻ったものの、列車が来るまであと1時間近くありました。そして待合室にはストーブなどもなく、非常に底冷えします。聞くと最寄りの喫茶店までは徒歩15分ほどかかるとのこと。 

悩みましたが、たった今出てきたお店に再び行くことにしました。そこで新たに見つけた「黒石やきそば酒」を熱燗にしてもらい、それで暖をとりました。 

柏農高校前駅 ようやく来た弘南線に乗って、今度は柏農高校前駅で下車。名前の通り、高校がある駅で、制服を着た生徒さん達が入れ違いに乗り込んできました。 

沿線ではこのように駅名が外側に大きく書かれた駅をいくつか見かけました。遠くからでも駅とわかるようにしているのでしょうね。

津軽おのえ温泉 日帰り宿 福家 駅から歩いて8分ほどにある「津軽おのえ温泉 日帰り宿 福家」。こちらの温泉はPH(ペーハー)8.7のアルカリ性単純温泉。つまり肌に優しい、ゆっくり浸かっていられる温泉です。こちらでまず体を温めました。 

クレイジーサイダーの工場 その後は隣接する「クレイジーサイダー」へ。クレイジーサイダーは、温泉施設を経営している方が立ち上げたブランド。ここのハードサイダーをいただくのを楽しみにしてきました。 

サイダーと言っても、ジュースのことではありません。りんごのお酒のことを、アメリカでは「ハードサイダー」と言うのです。 

クレイジーサイダー飲み比べ 使用しているのは青森県産りんごですが、醸造の仕方で様々な味になります。どれを飲んでよいかわからず、飲み比べをさせていただきました。 

色味も香りも味も、全部違います。どれもすっきりして飲みやすく、いろいろな食事と合いそうなお酒でした。温泉に入った後だったので、さらにおいしく感じました。 

大鰐線を走るこぎん列車 写真:弘南鉄道  弘南鉄道の大鰐線は、今回乗った「あおもりねぶた列車」を始め、旅行客を対象とした様々なコンセプト列車が走っています。2月末までは「界 津軽」とコラボした「こぎん列車」も運行しています。沿線も、ご紹介したように、見どころがたくさんありました。 

中央弘前駅にあるカウントダウンパネル しかし大鰐線は、2028年3月末で運行休止となることが決定しています。利用者の減少が大きな原因だそうです。私もたまにしか来られませんでしたが、鉄道路線がなくなってしまうのは残念でなりません。 


鉄道だけでなく、駅弁、駅そばなどの店舗も、利用しなければなくなってしまいます。 

もしどこか行ってみたい、食べてみたい場所がある方は、ぜひ行動に移してほしいです。知らない土地を旅することは、きっと人生の糧になるはずです。 


これからもどうぞ、よい旅を!



byやすこーん

【プロフィール】
青森県出身。漫画家&文筆家。駅弁・駅そば・温泉・お酒を楽しむ鉄道ひとり旅が好き。食べた駅弁の数は2600個以上。著書に「ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇」(玄光社)、「イラストで読む!鉄道知識と旅の基本 鉄道イロハ」 (イカロス出版)ほか。「旅行読売」で「猫に駅弁」連載中。HP→yascorn.com

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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