『冬の青森で鉄道旅 〜津軽鉄道のストーブ列車でスルメと日本酒、駅弁の旅〜』

『冬の青森で鉄道旅 〜津軽鉄道のストーブ列車でスルメと日本酒、駅弁の旅〜』

津軽鉄道のストーブ列車(写真:坪内政美)

こんにちは、やすこーんです。

「冬の青森で鉄道旅」シリーズ、楽しんでいただけていますでしょうか。冬の青森で鉄道旅、と聞いて私がまず思い浮かべるのは「ストーブ列車」。というわけで、第3回は、「津軽鉄道」の「ストーブ列車」に乗車します。 

津軽鉄道 津軽五所川原駅 

ストーブ列車は津軽鉄道の津軽五所川原駅〜津軽中里駅間、全長20.7kmを走っています。ちなみに津軽五所川原駅は、JR津軽五所川原駅のすぐ隣にあります。 

ストーブ列車に乗るには、乗車券とストーブ列車券が必要。きっぷの自販機などはないので、駅の窓口できっぷを買いましょう。

きっぷはダッチングマシンに通し、ハサミを入れる 津軽鉄道のきっぷは硬券です。硬券というのは、昔ながらの硬いきっぷのこと。これを見て、懐かしいと思われる方も多いのではないでしょうか。 

窓口できっぷを買うと、日付を入れるために、ダッチングマシンという機器に通します。さらにきっぷにハサミを入れてくれます。これもワクワクする瞬間。 

そう、列車に乗る前から、旅は始まっているのです。 

ホームに停車中のストーブ列車ちなみにきっぷは、ここで帰りの分も一緒に買っておきました。きっぷが売られている有人駅は津軽五所川原駅、金木駅、終点の津軽中里駅と限られています。無人駅から乗ると精算となり、きっぷは手元に残りません。私は硬券きっぷをコレクションしておきたい派なので、ここできっぷを買ったというわけです。 

ストーブ列車車内の様子 ストーブ列車には座席指定券も整理番号もありません。並んだ順から乗り込んでいく形で、自由席となっています。そうは言っても、できればストーブの前に座りたいから、早めに並んでおきました。 


車両1両に対してストーブは2か所。混んでいる時期は2両つないでいる時もあります。備え付けられた「だるまストーブ」は石炭で燃えています。時々車掌さんが石炭をくべに来る姿も。そんな光景が見られるのも津軽鉄道ならではです。勢いよく燃える炭のおかげで、ストーブの側は熱いくらいでした。 

車内販売のワゴン古い車両の車内の床は木製で、窓枠も木で出来ています。ちゃんと網で作られた網棚を見るのもひさしぶりです。現在も電車のこの部分は「網棚」と呼ばれていますが、その語源を知らない方もいるのではないでしょうか。 

列車が走り出すと、すぐに車内販売の方がワゴンを押してやってきました。

スルメを焼くアテンダントさんと、石炭をくべる車掌さん いつも買うのは、スルメと津軽鉄道ストーブ酒。買ったスルメは袋から取り出してアテンダントさんに渡します。すると、ストーブの上に押し付けてすぐに焼いてくれるのです。焼いたスルメは細かく裂いてもらえるので、そのまま食べることができます。 

車内で食を楽しむ私 そして買ったお酒と共に焼きたてスルメを楽しむ。これが実に楽しい。窓の外では渡り鳥の白鳥たちが、雪の中、田んぼでご飯を探していました。そんな景色を見ながら温かい車内で過ごすこの時間。津軽鉄道でないと味わえない、唯一無二の空間です。 

嘉瀬駅の「慎吾列車 夢のキャンパス号」 進行方向左側に見えてくる嘉瀬駅では「慎吾列車 夢のキャンパス号」が保存されています。これは1997年のテレビ番組で、香取慎吾さんが地元の子供達と津軽鉄道の車両にペイントしたもの。2017年に再び香取慎吾さんがみんなと塗り直し、今も静かに佇んでいます。 

慎吾さんファンだった私は、かつてこの駅で降りて、駅ノートにコメントを書いたことがあります。あれはまだ残っているのかなあ。 

斜陽館 そして金木駅に到着。ここでほとんどの人が降りていきます。私も初めて来た時は、まずこちらで降りました。 


金木駅から歩いて10分ほどに、「太宰治記念館斜陽館」があります。ここは太宰治の生家を記念館として公開している施設。明治後期の美しい建築物は、国の重要文化財にも指定されています。 

ほかにも「太宰治疎開の家」や、太宰が子供の頃、掛け軸の地獄絵を見て泣いたと言われる「雲祥寺」など、たくさんの見所があります。太宰ファンならもちろんですが、そうでなくても一度は来ておきたい場所です。

焼く前のスルメとストーブ酒 太宰治の跡をたどる旅については、「まるごと青森」サイト内でもたくさん紹介されていますので、今回はあえて金木を飛ばして、終点まで乗ります。 


というのも、津軽五所川原から金木駅までは、ストーブ列車で25分。スルメを食べて日本酒を飲んでゆっくりしたいところですが、実はあまり時間がありません。終点の津軽中里駅までは、津軽五所川原駅から44分で到着します。 

津軽鉄道の駅弁「ストーブ弁当」 さて、津軽五所川原駅で買っておいた駅弁を広げます。こちらは予約すると買える「ストーブ弁当」。ストーブ列車が走る12月〜3月の間のみ販売されています。ただし予約注文は、2個以上から。じゃあひとり旅だから無理か……とあきらめず、電話してみましょう。

その日、別の予約注文が入っていれば、1つでも一緒に作ってもらえます。予約締め切り間近に電話すれば、その可能性が高まりますよ。 

どのおかずも、もれなくおいしい 温かみのある竹籠に入ったお弁当は、地元の食材がふんだんに使われています。若生という若い昆布で包んだおにぎりや、イカやホタテを使ったおかず。味も工夫されていて、何度食べても飽きることがありません。 

こちらのお弁当をひとつひとつ手作りしているのは、五所川原市内にある和食レストラン「神家」の神ゆり子さん。こういう、列車のイメージや地元に合わせて丁寧に考えられた駅弁が、私は大好きです。 


ちなみに「旅行読売」という月刊誌で連載している私の漫画「猫に駅弁」2026年3月号の回では、津軽鉄道とストーブ弁当をテーマに描きました。よかったらご覧ください。 

津軽中里駅 そろそろ終点の津軽中里駅に到着します。お弁当と同時にお酒も飲み終えて、降りる準備。こちらから折り返しのストーブ列車に再び乗ります。それまで時間があるので、津軽中里駅構内の食堂で過ごそうと思います。 

高崎駅弁「だるま弁当」(たかべん)の容器 今回乗車した時はまだ雪は積もっていませんでしたが、一昨年来た際に、ここで取り出したのは、群馬県にある高崎駅弁の「だるま弁当」空き容器。家から持参しました。雪の降る時期に東北に来ることがあれば、必ず携帯しているものです。 


これで雪だるまを作ります。この容器は半分ずつ立体になっていて、それぞれにきっちり雪を詰め込んで合わせると、しっかりと模様の付いた立体雪だるまができるのです。 

木造駅で作った雪だるま かつて北海道にも何度かこの容器を持って行きましたが、北海道の雪はサラサラすぎて、雪だるまを作るのに向いていませんでした。あちらこちらの雪で試した結果、青森の雪が一番きれいにできました。 

数年前は、五能線の木造駅前でも、時間があったので雪だるまを作って遊んでいました。 


駅弁好きで、すでに今まで2600個以上を食べていますが、食べるだけでなく、掛け紙や入れ物をコレクションするのも趣味。こうやって容器で遊ぶのも趣味。我ながら駅弁を楽しみ尽くしていると思います。 

津軽中里駅で作った雪だるま 雪だるまをせっせと作って並べていたら、通りがかりの外国の団体客の方たちが笑いながら写真を撮っていきました。こうしてコミュニケーションが取れるのも楽しいです。 

なんてことを思い出していたら、帰りのストーブ列車の発車時間になりました。津軽五所川原駅方面に戻りつつ、今度は芦野公園駅で下車します。 

赤い屋根の喫茶店「駅舎」 芦野公園駅の駅舎は、喫茶店となっています。こちらの駅舎は建てられてからすでに95年経つそうです。 

赤い屋根の喫茶店「駅舎」ができたのは2007年。来てみたいと思いつつ、ようやく来られました。店内には、駅の窓口の跡や、たくさんの鉄道部品が飾られていました。 

元・駅の窓口と駅舎珈琲、りんご焼きどーなつ りんごを使ったメニューがいろいろある中で、りんご焼きどーなつと駅舎珈琲を注文しました。りんご焼きどーなつには青森県産米粉が使われています。プレーンのピンク色は、桜をイメージしているとか。 

この駅舎の周りや沿線には桜の木がたくさんあり、春はピンク色に染まるそうです。線路は桜に覆われ、桜のトンネルの中を列車が走ってきます。その時期に、また来てみたいですね。

お見送りしてくれた栄利有夏さん 

地元出身のオーナー、栄利有夏さんとお話していたら、そろそろ帰りの列車が到着する時間に。名残を惜しみつつ列車に乗り込むと、お見送りしてくださいました。温かいおもてなしに、また来ようという気持ちになります。実際にリピーターさんも多いそうです。

桜の芦野公園駅(写真:坪内政美)芦野公園駅は、太宰治の小説「津軽」にもちょっとだけ出てきます。私は特に太宰ファンというわけではありませんが、「津軽」はとても好きな作品。小説「津軽」を読んで、津軽の各地を回り、津軽鉄道に乗ってみる。かつてそんな旅に憧れていたので、津軽には何度も足を運んでしまうのだと思います。 

ぜひこの小説を読んでから、津軽鉄道の旅をしてみてほしいです。


……と、ここまで書きましたが、現在、津軽鉄道のストーブ列車は、長期の運行見合わせ中。その代わり、津軽五所川原駅4番ホームにストーブ列車を留置し、公開しています。なんと入場料やストーブ列車券は無料!

車内ではストーブが焚かれ、アテンダントさんが待機して、スルメや日本酒の車内販売も行われているそうです。また、事前予約すれば、お弁当の購入も可能です。

こちらで雰囲気を味わい、津軽鉄道の旅を楽しんでいただけたらと思います。


byやすこーん

【プロフィール】
青森県出身。漫画家&文筆家。駅弁・駅そば・温泉・お酒を楽しむ鉄道ひとり旅が好き。食べた駅弁の数は2600個以上。著書に「ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇」(玄光社)、「イラストで読む!鉄道知識と旅の基本 鉄道イロハ」 (イカロス出版)ほか。「旅行読売」で「猫に駅弁」連載中。HP→yascorn.com

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