三戸は日本のパリ?!三戸せんべいを焼く3店舗【三戸町】

三戸は日本のパリ?!三戸せんべいを焼く3店舗【三戸町】

1.三戸町民パリジェンヌ説


最近知ったのですが、三戸町の方々のおせんべい愛ってすごいらしいですね。

こんな面白い表現を見かけました。


「三戸町民はパリジェンヌだ。

なぜなら、三戸町民は、パリジェンヌのように一家に一軒、お気に入りのせんべい店があるからだ。

なお、三戸のせんべいは米ではなく小麦なので、パンのような焼き上がりなのである。」


この言葉通り、古くから冷害に悩まされてきた青森県・岩手県にまたがる南部地域では

小麦の食文化が発達してきたという歴史があり、

南部せんべいは小麦粉が原料。


確かに言われてみれば、食感や味もパンに近いかも…

中でも「三戸せんべい」の特徴は、より薄くサクサク、パリパリとした食感…


…ハッ!

やっぱりパリジェンヌだけにパリパリがお好きなんでしょうか!!


ダジャレはさておき、なんとも心ひかれるストーリーですよね。


パリパリではないのですが、

三戸町で購入できるおせんべいの中で特に個人的に好きなのが、「てんぽせんべい」です。

堅く焼き締めずに小麦粉だけで柔らかく焼いた「生せんべい」である「てんぽせんべい」は、

「賞味期限3分」と言われ、スーパーなどに流通しないので、お店に買いに行くしかないのです。


でもわざわざ三戸町まで出向くだけの価値があると思っています。

焼き立てアツアツふわふわの、まるでパンケーキのような「てんぽせんべい」を食べる幸福感ときたら…!

2007年の記事でもご紹介している「三戸せんべい」、当時は町内に6店舗あったようですが、

現在は3店舗となってしまったと聞きつけ、このままでは好物が食べられなくなってしまうと危機感を感じている今日この頃。

いてもたってもいられず、その3店舗に取材してきました!


2.てんぽせんべいでおなじみ 小山田せんべい店


三戸駅から近い順に、まずお邪魔したのが、小山田せんべい店さんです。

三戸せんべいと言えば、真っ先に名前が上がるお店ではないでしょうか。

先ほどご紹介した「てんぽせんべい」を焼いてくれる町内唯一のお店なので、

これまでも何度かこっそりと訪問してお世話になっておりました。

恥を忍んで白状しますと、これまである勘違いをやらかしていたことに今回気づきました。


この表札を見て、「みほ」さんという女性が店主で、「郁子」さんというのは妹さんかどなたかで、

姉妹で切り盛りしているお店なんだなと勝手に思い込んでおりました。

実は「美穂」さんは、「よしお」さんと読むのだという真実を、今回の取材で初めて知りました。

大変失礼いたしました…!!好物のお店なのに、冷や汗です。

まるで小麦の穂を思わせるような、まさに老舗の店主にふさわしい美しいお名前です。


気を取り直して、こちらが店主の小山田 美穂さん。

昭和21年の生まれでいらっしゃいます。

「三戸」ということで「3」のポーズを取ってくださる、お茶目でノリの良い、気さくな御年80歳!

美穂さんの祖父母がお店を創業したのは大正6年(1917年)で、

当時は町内にせんべい店が96軒もあったそうです。


ところが戦時中、金属類を供出しなければならず、他の兼業店がおせんべいの型を失っていく中、

小山田せんべい店は専業であるとの理由で難を逃れたのだとか。


小学3年生から家業を手伝っていたという美穂さんの職人歴はすでに70年を超えています。

津軽海峡を超えてわざわざ北海道から買いに来てくれるファンの方もいて、

それがやりがいなんだと、驚異のベテランは朗らかに語ってくれました。


【小山田せんべい店】

住所:三戸町同心町古間木平38-2

電話:0179-23-3779


3.女性が切り盛り 安ケ平せんべい店


次にお邪魔したのが、小山田せんべい店から徒歩3分の安ケ平せんべい店。

昭和25年頃の創業なので、75年以上の老舗です。

手前の木でできた風格ある看板がなんとも味わい深いですね!

お店に入ると目をひくのが、右側に鎮座する赤いレンガでできた焼き機。

ノスタルジックな雰囲気です。

その焼き機の奥で作業していたのが、現在の店主、工藤 栄子さん77歳。

お母さんが創業したお店を引き継いで、20年ほどになるそうです。

今度こそ本当に、女性が切り盛りしているお店です!(小山田せんべい店さん、改めてすみません)

作業中は、焼き機の前にずっと立ったままの状態です。

熱が直接顔に当たり、「夏場は暑くて大変」と言います。


「でも、この仕事が好きだから続けてる。私、おせんべいを焼く作業が好きなの」と語ってくれました。


たまたまかもしれませんが、取材中ひっきりなしに来店していたお客さんが全員女性でした。

「おぉ、この方達こそ噂の三戸パリジェンヌ…!」と内心興奮しながら様子を拝見していると、

「みみ(おせんべいの周辺部分を取り除いたもの)ちょうだい」とツーカーなやりとりで購入していかれる方もいれば、

「お鍋に入れるのは何がおすすめ?」とじっくり相談する方も。


「安ケ平さんとこの白せんべいは、せんべい汁に入れても煮崩れしにくくておいしいの」

とファンの方からのコメントもいただきました。


女性が代表を務めるお店だけに、主婦のニーズを細やかに察知する能力に長けている。

そんな印象と共に改めて、おせんべいが南部地方の方の毎日の食卓に欠かせない存在なのだと実感しました。


一番の売れ筋は、「柔らかいみみ」だそうです。

個人的には、クリームチーズを塗っておつまみとして食べるのが好きです!

【安ケ平せんべい店】

住所:三戸町同心町同心町平33-3

電話:0179-22-0744


4.一番の若手店主 松原せんべい店


最後にお邪魔したのが、先の2店舗からは1.7kmほど離れた集落にある、松原せんべい店です。

オレンジ色の壁が目印です。

創業は昭和20年頃。小山田せんべい店に次ぐ老舗ですね。

店主の松原 勝乗(かつのり)さんは昭和36年生まれの64歳。

おばあさんが創業した家業を継いだ3代目です。

3店舗の店主の中では一番お若い!

中心街から離れている利点か、これまでのお店と比べスペースが広いです。

製造、袋詰め作業、販売の区画に分かれた機能的な構造になっています。

それでも焼き機が使い込んだ風情のレンガ造りであるのは、他と同様です。

まるで某国民的アニメのパン工場のような空間に、あたたかく香ばしい香りが漂っていました。

焼き上がったおせんべいを一時的に置いている竹籠がまた素朴でかわいいんですよね…!

朴訥な印象の勝乗さんをフォローするかのように、奥様の文子さん(61歳)が明るく言うところでは、

「私達は子どもはいるんだけど、継がせることは考えてないのよ〜。

後継者はいないけど、この人は死ぬまでおせんべい焼き続けるつもりだから!」


こちらの売れ筋商品は、「じゅねせんべい」だそうです。

※「じゅね」とは、えごまのことです。


悲しすぎることに数十年後にもしかしたら、2店舗だけとなってしまうかもしれない三戸のせんべい店。

そうなってしまう前に、これからも足繁く三戸へ通うことを決意しました!!


皆さんもぜひ「日本のパリ(!?)」三戸でお気に入りのせんべい店を見つけて、

「パリジェンヌ」気分を味わってくださいね!

【松原せんべい店】

住所:三戸町豊川中屋敷平28-3

電話:0179-22-2560


by  フォレスタ



掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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