【酸ヶ湯温泉】深夜2時に入浴!?
丑湯祭りに行ってみたら、酸ヶ湯温泉がやっぱり良かった。

※この記事は、今夏7月に取材した内容に基づいています。
いや~、今年も酸ヶ湯温泉に雪、積もりましたね。今季初の1m超えだそうですよ。
標高約900mの八甲田山・西麓に位置し、開湯から300年以上の歴史をもつ湯治宿「酸ヶ湯温泉」。毎年豪雪のニュースで話題となりますが、強い酸性の硫黄泉が湧出する混浴大浴場「ヒバ千人風呂」は圧巻のスケールで、八甲田の豊かな自然と四季を感じながら湯治文化を体験できる、県内の代表的な温泉地のひとつです。
1954年(昭和29年)には、優れた環境や効能から「国民保養温泉地 第1号」に指定され、今もなお、多くの旅人を癒し続けています。

年に3~4回は県内外の湯治宿へプライベートで足を運んでいる、湯治好きなわたくし「ちゅる子」。今夏、酸ヶ湯温泉の方に声をかけていただき、毎年土用の丑の日に開催される「丑湯祭り」へ特別に潜入しました!
また丑湯祭りの取材をしていくなかで、改めて酸ヶ湯温泉の良さを実感したので、その魅力をお祭りレポとともにお伝えします。
1.丑湯祭りとは?
「丑湯祭り」は、無病息災・長寿祈願を願う温泉文化行事で、東北の一部の温泉地では、古来から土用の丑の日の丑の刻(午前2時)に温泉に入ると1年のうちで最も効能が高まる、と信じられてきました。
酸ヶ湯温泉ではこの伝承を受け継ぎ、明治時代から続く伝統行事として毎年7月に開催されています。

浅虫温泉や黒石市の温湯温泉など、いくつかの温泉でも同時期に丑湯祭りは開催されますが、深夜2時という時間帯にまでこだわっているのは県内唯一、酸ヶ湯温泉だけだそうです。
2.まずは神事に潜入
酸ヶ湯へ到着したのは7月19日の午前10時30分。今年の「丑の日の丑の刻」である翌7月20日午前2時のヒバ千人風呂入浴まで、半日以上あります。
まずは神主さんによるお清めの神事から。館内の要所を回っていきます。

次に、大浴場のヒバ千人風呂。

最後に、温泉の神様を祀る薬師神社へ。

辺り一帯には、お囃子が鳴り響きます。

このように関係者が館内を回り、丑の刻の入浴に向けて酸ヶ湯温泉全体を清めます。名湯ならではの伝統を感じる、厳かな雰囲気に包まれていました。
3.多彩なイベントも
神事以外にも、酸ヶ湯温泉の丑湯祭りでは様々なイベントが開催されていました。
こちらは、笑いで健康になる「笑いヨガ講座」。講師の津島先生と一緒に「笑いエクササイズ」を体験して、笑いを健康法にするトレーニングを行いました。

それとこちらは「青森の湯っこ協会」代表 沓掛(くつかけ)さんによる「丑湯温泉セミナー」。これまで47都道府県2,500か所以上もの温泉を巡った温泉マニアである沓掛さんだからこそ話せる、丑湯にまつわる知識が満載のセミナーでした。

夜は、青森市のスコップ三味線居酒屋「鐵の響(くろがねのひびき)サフロ」店主の吉崎さんによる、スコップ三味線演奏も。過去にスコップ三味線の世界大会で優勝経験もある吉崎さんの妙技と名物の掛け声「ろぉ~」と共に、会場全体が盛り上がりを見せていました。

4.いざ、丑の湯へ
神事にイベントと、多彩な催し物を見ていたらあっという間に午後9時30分。翌午前2時の丑の湯に向けて、「大湯替え」が始まりました。大湯替えは、ヒバ千人風呂の「熱の湯」の湯を全て抜き、新たなお湯に入れ替える作業のことで、1年のうち丑湯の日にしか行われない貴重な行事です。

熱の湯を含むヒバ千人風呂は、浴槽の底から源泉が直接湧き出す「足元湧出」のため、常に高い鮮度の泉質を楽しめるのが特徴。そのお湯を全入れ替えしちゃうんですから、普段はお目にかかれない、湧き立てホヤホヤ、生まれたて赤ちゃんのような源泉を楽しめる貴重なタイミングということで、眠い目をこすりながら湯舟にお湯が満たされていく様子を見守ります。

最初のお湯抜きから約4時間後の午前1時30分。ついに熱の湯の湯替えが完了し、みんなで湯もみをしました。この湯もみも年に1回、丑湯祭り限定の貴重な行事で、お湯の肌当たりを柔らかくし、入浴しやすい温度に調節する効果があります。

そして時は来たり、午前2時。このお祭りに参加した人たち全員で、一斉に出来立てほやほやの熱の湯へ入浴しました(※男女ともに湯あみ着の有料貸出があります)。
男性も女性も、若い方も年配の方も、地元客も観光客も酸ヶ湯温泉のスタッフさんも、普段はみんなそれぞれの立場があるけれど、この時だけは同じ湯を囲んでゆったり体を温めていて、ああ、これが日本の温泉の原風景なのかなあ、としみじみ思いながら、1年の平和と健康を静かにお祈りしたのでした。

混浴というと身構えてしまうかもしれませんが、酸ヶ湯のそれは、決して派手でも特殊でもなく、地域に根ざした静かな文化そのもの。開湯から受け継がれる文化や伝統を大切に守り続けるこの名湯で、ヒバの香りと白濁の湯に包まれながら、今も残る日本の湯治文化を少し覗いてみる――こんな体験ができる温泉は、国内でもそう多くはないように思います。

5.湯治プラン宿泊レポ
今回丑湯祭りへの参加にあたり、1泊2食付きの湯治プランを体験しました。宿泊したお部屋は、湯治棟(6号館)の角部屋。八甲田山の酸ヶ湯登山口がすぐ目の前で、山との一体感が感じられました。雰囲気も、伝統宿ならではの昭和レトロ感満載。




夕食は土用の丑の日なだけに、うなぎのかば焼きが!

きのこ汁は特に絶品でした。

湯治プランなので、豪勢な旅館料理とは一線を画して程よい食事量。これでいいんだよ、これがいいんだよ。
丑湯祭りまでの待機時間やイベントの合間など、隙を見つけては温泉へ。上がったら部屋の畳で横になったり、外の景色を眺めたりして、入浴と休憩を繰り返す。これぞまさに湯治♨な時間を過ごしました。


翌日の朝食は、標高900m超から望む青空とブナとともに。

ちなみに1日目のお昼に食べた、酸ヶ湯温泉併設の蕎麦屋「鬼面庵(おにめんあん)」の天ざるそばも美味でした。つなぎ・添加物を一切使用せず、八甲田の伏流水でつくられたそば粉100%の「酸ヶ湯蕎麦」が使われています。

最後に、丑湯祭り期間中の2日間(7月19日~20日)だけ限定営業した、酸ヶ湯温泉内のカフェ「ぶな林(りん)」へ立ち寄り、コーヒーをいただきました。


コーヒーを淹れてくれたのは、酸ヶ湯温泉株式会社 営業企画室の高田新太郎さん。酸ヶ湯温泉を盛り上げようと、年間を通じて様々なイベント企画や情報発信を精力的に行う、いわば「酸ヶ湯温泉の仕掛け人」です。酸ヶ湯温泉にとって特に重要なイベントである丑湯祭りの期間中は、ほぼ寝ずにイベント運営に携わっていたとのこと。
丑湯の時間帯には牛の被り物とメガホンでお客様を盛り上げるなど、ユーモア溢れる姿が終始印象的でしたが、実は酸ヶ湯温泉に人一倍の熱意と愛情を注ぐ、一生懸命でひたむきな方でした。

取材では、会長さん社長さんをはじめ、高田さんが所属する営業企画室の皆さんや、湯守さん、温泉療養相談室の看護師さんなど、酸ヶ湯温泉の運営に携わる色々な方にお会いしたのですが、3日間のロングランイベントにも関わらず皆さんいつもニコニコ楽しそうで、やっぱりこれは温泉の力なのかなあ~と改めて感じたのでした。

昔ながらの湯治文化を今に伝え、多くの旅人を癒し続ける名湯・酸ヶ湯温泉。この文化が今後も続いていくには、それを愛し、支える人たちの存在が欠かせません。そんな、心温まる人々との出会いと癒しの温泉が待つ酸ヶ湯で、この冬は心身ともに「ぬぐだまる(温まる)」旅をしてみませんか?
車でお越しの際はスタッドレスタイヤの装着をお忘れなく、安全運転でお願いします⛄♨
※今回撮影した神事の様子や大浴場内は全て、特別に許可を得て撮影したものです。
6.おわりに
今年も「冬のあおたびキャンペーン」が予約開始!
青森県民の皆さんに冬の青森をもっと楽しんでもらうための宿泊キャンペーン「冬のあおたびキャンペーン」が今年も予約を開始しました!詳細は下記URLをご確認ください。
冬のあおたびキャンペーン:https://fuyuno-aotabi.jp/
酸ヶ湯温泉もキャンペーン対象ですので、お得に宿泊できるこのチャンスをお見逃しなく~!
(by ちゅる子)
| 酸ヶ湯温泉旅館 | |
|---|---|
| 場所 | 〒030-0111 青森県青森市荒川南荒川山 国有林酸湯沢50番地 |
| TEL | 017-738-6400 |
| 料金 | 下記公式サイト又はお電話にてご確認ください。 |
| Webサイト | 公式サイト |
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。