津軽に「刀鍛冶」がいるって知ってるかい?

津軽に「刀鍛冶」がいるって知ってるかい?

こんにちは、霜月です!
突然ですが、みなさま、いま「日本刀」がひそかなブームになっているのをご存じですか?今回は、最近流行りの日本刀に関するご紹介をしたいと思います。

実は、津軽には350年以上続く名門刀鍛冶の系譜が残っており、日本刀製作の技術を用いた刃物はもちろん、現在も日本刀を制作している「刀匠」がいるんです!

刀匠をご紹介する前に、まずは、青森の刀鍛冶の歴史を簡単に説明いたしましょう。

津軽の刀鍛冶のはじまりは、津軽藩初代藩主の津軽為信の時代からです。
為信が弘前城の築城計画を立てたときに、相州(現在の神奈川県)から「相州住(三代目)國廣」という刀鍛冶の一門を呼び寄せ、十一年間で大小三百あまりの刀を作らせたそうです。

そのときに伝わった優れた鍛造技術をを継承し、津軽藩お抱えの刀工となったのが「二唐家(現在の(有)二唐刃物鍛造所)」でした。二唐家は代々の藩主や武士たちの刀を作り続け、大正から昭和にかけては二唐家五代目刀匠「二唐國俊」が刀匠の最高位である『無監査』に選ばれるなど、優れた人物を輩出してきたのです。
〈写真右が五代目國俊〉

「刀鍛冶」

残念ながら現在は二唐刃物鍛造所では日本刀製作は行っていないのですが、武器製造で培った鍛造の技術を生かし、素晴らしい切れ味の包丁やワンランク上の建築鉄骨等を作っていらっしゃいます。

為信の時代から続く作刀技術そのものは県内に引き継がれています。現在も日本刀を作り続けているのが、五代目國俊の弟子にあたる、刀匠の中畑貢さん(号:國廣)です。

「刀鍛冶」

中畑さんは29歳で刀匠の資格を得てから45年間、田舎館村で日本刀を作り続けていらっしゃいます。中畑さんは「日本刀は人間が作ったもののなかで一番美しいもの」という想いのもと、刀鍛冶として作刀をするだけでなく、柄やつば、鞘にいたるまで、出来る限りご自身で制作されている、国内でも珍しい方なのです。

「刀鍛冶」

そんな中畑さんは、毎年、田舎館村の田んぼアート期間に、製作工房の見学会を実施していらっしゃいます。見学会は、日本刀の歴史を皮切りに、刀の材料となる玉鋼や鉄の説明、作刀の工程、実際に作業していらっしゃる工房内の設備まで、くわしく教えてくださいます。

しかも、工房の説明だけではなく、中畑さんがこれまでに作った刀を手にとって見せてくださるのです!全国的な傾向をみますと、刀を打っているところや、試し切りの様子を見せてくれる刀鍛冶の見学会は多いのですが、実際に手にとって見られるというメニューはあまりないようです。
しかし、中畑刀匠は「刀は手にとって、重さを感じてこそ鑑賞の意味がある」ということで、見学者に大切な刀を提供してくださっているのです。
(↓は鞘に津軽塗を施した、弘前風の二振り)

「刀鍛冶」

見る前には、日本刀を鑑賞する際の作法はもちろん、刀のどこに着目して見ればよいのか、ということを丁寧に教えてくださいます。刀の各部分をご自身で作る「こだわり派」の刀匠ですので、鎌倉時代の太刀はどんな特徴があるのか?刃紋はどうか?江戸時代の刀とはどう違うのか?柄の材質は?といった細かい質問にもやさしく答えてくださいます。

「刀鍛冶」

今年は、田んぼアート観覧時期に合わせて6月7日(日)から10月11日(日)までの約4ヶ月間、毎週日曜日に見学会を実施なさるそうです。

この工房見学は、日本刀に興味のある人にとってはもちろん貴重な機会ですし、これまで関心のなかった人にとっても面白い体験になると思います!事前情報がない分、日本刀の美しさがすっきりと心のなかに入ってくるような気がします。わたしも、もう一度じっくり日本刀を鑑賞したいです。

みなさまも、ぜひ一度、見学しに行ってみてはいかがでしょうか?

※2024年5月に日本刀の製作を終了しました。ご了承ください。

By霜月

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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