イカの哲学

イカの哲学

私が愛してやまない食材の一つに、イカがあります。

あの透明な、向こうが透けて見えるような身に、
刺身包丁を入れて、こう、スーッとひくと、
なんとも清らかな、透明な、存在に変わります。

ああ、美しい。

見ているだけでもいいくらい、青森のイカは美しい。
こんなのは、東京じゃあ無理だ。青森じゃなきゃ。

刺身がベストなのは青森の人なら誰しも知っていますが、
お料理もオリジナリティ溢れる青森ならではのものが多いですよね。

イカの哲学

これは、下風呂の旅館でいただいたお味噌汁。初夏だったのでテクビイカでしょうかね。絶品でした。

イカの哲学

イカ寿司。中身は野菜のつけもの。県外の人は結構びっくりします。お酒にとてもよく合いますね。

イカの哲学

イカハンバーグ!進学のため上京した青森県出身の若者が、都内のお店でハンバーグを食べて、「ハンバーグなのにイカが入っていない!」とクレームを付けた人がいたとか、いないとか・・・。

イカの哲学

そして、なんといってもこれ!イガメンチ!(写真は弘前の「土紋」さんのイガメンチです)

そういえば、イカで哲学してしまった波多野一郎さんの本は、おもしろかったなぁ・・。
イカとの会話で世界平和を考える・・・どうやらイカにはそんな力があるらしいです。

でも、私に最高の幸せを与えてくれるのは、
三浦哲郎さんが随筆で紹介していた、八戸の漁師町での、あの食べ方。

「この浜のひとたちが、イカサシを食べているところを初めてみたとき、私は、ひやしウドンを食べているのだと思った。ここでは、イカがウドンにみえるほど細く切るのである。それを丼にどっさり入れ、上にワサビをひとつまみのせて、醤油をたっぷり注ぎかける。十分かきまぜてから、ウドンを食うようにして、スルスルとすすりこむ。」
「このイカサシには、茶碗酒が実によく合う。それもヒヤで、茶碗になみなみと注ぐのがいい。それで、茶碗のふちにかけた親指の先を、なかの酒にひたしながらのむのがいい。」
(高田宏編「あまカラ抄」 三浦哲郎『いかさし丼』より抜粋)

生醤油をたっぷりかけて、イカの粘りが出るくらいまで丹念に混ぜてから、豪快にいただく。
三浦氏によると、丼には秋イカの胴体部分だけ三杯分のイカサシが入るそうです。

いやはや、
先人のイカ道は実に奥が深い。

by OAK

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